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次に日本人向けタイ料理を食べた。プーパッポンカレーである。これはおいしかったし、辛くなかった。そして、レトルトのグリーンカレーと日本米の組み合わせ。いちばん安心して食べることができた。

小川と林は私がレトルトを食べているのを喜んで見ていた。

「当社のグリーンカレーのほうが地元の料理店よりもおいしいと言う従業員は大勢います」

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現地工場に限らず、わたしはバンコクの庶民向け食堂、高級料理店でもグリーンカレー(ゲーンキャオワーン)を注文してみた。味はいずれもおいしかったが、具材の大きさで言えば、もっとも大きな鶏肉が入っていたのはヤマモリのレトルト食品だった。

ヤマモリが大きな投資をしてやったこととは日本人にとってエスニック料理だったゲーンキャオワーンを日本の庶民が日常に食べる「グリーンカレー」にしたことだ。

野地 秩嘉(のじ・つねよし)
ノンフィクション作家
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。著書は『トヨタの危機管理 どんな時代でも「黒字化」できる底力』(プレジデント社)、『高倉健インタヴューズ』『日本一のまかないレシピ』『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『一流たちの修業時代』『ヨーロッパ美食旅行』『京味物語』『ビートルズを呼んだ男』『トヨタ物語』(千住博解説、新潮文庫)、『名門再生 太平洋クラブ物語』(プレジデント社)、『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』(ダイヤモンド社)など著書多数。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。旅の雑誌『ノジュール』(JTBパブリッシング)にて「ゴッホを巡る旅」を連載中。