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髪の毛一本が落ちることも許されない工場へ

食品工場へ入るにはまず全身、着替えなくてはならない。髪の毛一本でも混入すると工場の機能が止まる。厳格なチェックがある。そして、ユニフォームを着て、靴を履き替え、ネットをかぶったうえで帽子をつける。もちろんマスクは必須だ。それからコロコロのゴミ取りで衣服のごみを取り、エアーシャワーの部屋を抜け、靴の裏まで消毒する。

工場内の掲示板には英語とタイ語で、「安全委員会」「品質安全会議」「改善活動」と並んで「防虫委員会」という表示があった。日本の食品工場でも防虫には気を遣っているのだろうが、タイの場合は虫の種類が多いのかもしれない。委員会が虫を監視して建屋に入れないようにしているのだろう。

工場内にはハラル対応と非ハラルの2種の製造ラインがある。タイカレーの製造はハラルのラインだ。ハラルとはイスラム教の教えで「許されている」という意味。ムスリムは豚肉やアルコールを口にしないで生活しているので、それに合わせて調理したものを製造する。

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ハラル対応と非ハラルの区画は厳密に分けられている。ふたつの区画は入り口、出口も別だ。また、働く人間もどちらかの区画内と決まっている。

そしてタイカレーの製造ラインは次のようになっている。まず、材料の洗浄、選別、カット、ボイル、炒めの各工程がある。最後にタイカレーのソースと鶏肉などの具材を一緒にする。レトルトパウチ製品にして加熱、殺菌してできあがり。ヤマモリのタイカレーは具材が大きいので、鶏肉などは従業員が1人前のカップに1食分を手作業で入れる。洗浄やボイルなどはほぼ自動化しているが、具材の投入工程だけは人がやらなくてはならない。

レトルトっぽくない、生ハーブと大きな具材

林は教えてくれた。

「カップに具を入れて最後に混ぜる製法はレトルトでは一般的で、比較的大きな具材の投入時に使用します。ただ一般的には具材のうち1種類か2種類なんですが、うちのタイカレーは4種ほどの具材をカップで固形投入しています。そのため食べた時、大きな具がごろごろと入った見映えにつながっています」