しかし、周りの保護者の方々はもう必死です。先生方の言葉に不安を煽られ、みるみるうちに表情は引きつり、心拍数が上がっていっているだろうことが手に取るようにわかりました。先生方は親御さんを不安にし、受験モードにさせるためにそうした話をしているわけですから、当然と言えば当然です。

「言葉の裏の意味」は伝わってしまう

こうした不安を植えつけられた親が、口では「大丈夫、あなたならきっと合格できる」と言っても、子どもは鋭いので親の本心を見抜きます。「そう言うけど、本当は受かるかどうか不安なんだ」と察しますし、「落ちても近くの公立中学に通えばいいよ」と言われたら、「絶対に合格しろってことだな」と言葉の裏を読もうとします。

生まれつきの気質として不安が高い子どもほど、こうした裏の意味を読み、余計に不安を高めてしまいます。結果、試験前にじんましんが出る、下痢が止まらなくなる、吐き気がするといった諸症状となって不安が現れます。そのようなコンディションでは、いくら勉強しても試験本番で実力を発揮することはできません。

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塾によっては、テストの結果に応じてクラス分けや席順が決められているところもあります。そうすると、自分より下のクラスの子どもを「おまえなんか落ちこぼれじゃん」と馬鹿にするなど、偏差値を基準に子ども同士でマウントを取り合うようになります。塾としては、子どものやる気を鼓舞するために意図的に競争心を煽っているところもあるでしょう。

朝4時に起床し、夜7時には就寝する

先生から「親御さんが二人三脚で勉強をみてあげないと、お子さんの順位がどんどん下がり、かわいそうな思いをさせてしまいますよ」という脅しに近いお説教を受けたという親御さんもいます。その言葉を真に受け、家でも親がつきっきりで勉強をやらせたらどうなるか。

朝から学校や塾という集団の中で勉強し、帰宅してからも親が待ち構えている。合格・不合格以前に、そのような心休まらない環境が、子どもの脳の発達にいいとは到底思えません。