子供の成績を伸ばすにはどうすればいいのか。小児科医の成田奈緒子さんは「睡眠時間を削るのは絶対にNG。小さい頃から睡眠時間を短くしてしまうと、子どもの脳の成長を妨げてしまう。学習塾では『夜遅くまで勉強させないと受からない』などと言われるが、気にする必要はまったくない」という――。(第1回)
※本稿は、成田奈緒子『子どもの隠れた力を引き出す最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法』(朝日新書)の一部を再編集したものです。
学習塾に入ったものの、勉強時間が長くなり…
小学生になると、学習塾に通わせる家庭が増えます。わが家でも一時期、娘を学習塾に通わせていました。当時、夫の単身赴任でワンオペ育児の真っただ中にいた私は、週に数日はシッターさんに来てもらっていました。ある日、わが家の向かいに学習塾があることに気づき、値段を調べたところ、「シッターさんより学習塾の方が安い」と判明。よこしまな理由から、試しに娘を入塾させることにしました。
娘が通っていた塾は、プリント学習を主体としていました。一つの単元が終わると、学校での進度とは関係なく個人のレベルに合わせて上の学年の問題を解いていくことができます。どんどん解き進めることができ、娘も楽しそうに通っていました。しかし、後述するように、わが家には「夜8時就寝」という絶対に譲れない生活の軸がありました。
先生方にも、あらかじめ「夜7時には帰らせてください」とお願いをしていましたが、娘のレベルが上がるにつれ「今が伸びどきだから」と引き留められるようになったのです。そうして徐々に塾にいる時間が延びていき、遂に夜7時を回っても家に帰って来なくなりました。先生方からは「せっかく学力が伸びているのに、もったいない」と残念そうに言われましたが、規則正しい生活を優先して退塾させました。
睡眠時間が短くなるほど、学習力は低下していった
親として「他の子が遅くまで勉強しているなら、うちの子も同じ時間までやらせた方がいいのでは」と迷いが生じる気持ちもわかります。それでも生活の軸を常にぶれさせずに子どもと接しているうちに、次第に子ども自身の中にも軸ができ上がっていきます。