イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 ACジャパンのキャンペーンCM「苦情殺到!桃太郎」が話題になっているわね。美輪明宏さんのナレーションにのせてSNS時代の「炎上」が描かれる。おばあさんが川を流れてきた大きな桃を掬(すく)いあげると、「窃盗だろw」などと批判コメントが殺到、おばあさんはうちひしがれる。美輪さんの「悪意ある言葉が、人の心を傷つけている」「声を荒らげる前に、少しだけ考えてみませんか?」という言葉が、見る人の心に重く響く。

 ブログとインスタを日々アップし楽しんでるボクも、SNS炎上はいつも警戒している“つもり”。でも、短い言葉で瞬時に真意を伝えるって、難しい! 言葉の一部のみがクローズアップされて真意が伝わらずに騒動になった“炎上経験”もあるけど、ボクには幸い弁明の機会が与えられた。でも一般の人がネット攻撃されたら、反論する機会を得るのは至難の業よね。

 ツイッターはじめSNSは、誰でも気軽に言葉や映像を全世界に発信できるすばらしいツール。でも、一歩間違えば、誰かを深く傷付け、社会を誤った方向に動かしかねない。たとえそれが「悪」を指摘し正そうとする「正義感」からであってもね。匿名だと人は攻撃性が高まるようだから、ネットやSNSの即時性も相まって、あっという間に過激化。炎上に至ってしまうんですね。

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 撤回や訂正、謝罪はできるけれど、誤った情報や誹謗中傷の言葉は永遠にネット上に残り、将来にわたり人の心を抉(えぐ)り続ける。「罰を受けるべき」「人に非難されるようなことをしなければいい」という意見も理解できるけれど、問題の軽重はあれ、間違いを犯してしまうのもまた、人間。

 桃太郎のCMのおばあさんを見てドキッとしたり、かわいそうに感じた人が多いとか。自分を含め、SNSでの発信は一度「リシンク」してからにしたいですね。