5度目の実写ドラマ化となる、内田春菊氏原作の『南くんの恋人』。現在放送中の『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)は“男女逆転”版で、主人公のちよみを飯沼愛が、突然小さくなってしまう南くんを八木勇征が演じている。原作で読者に大きな衝撃を与えたラストは、これまでのドラマではどのように扱われてきたのか?(全3回の3回目/#1#2を読む)

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 4回目のドラマ化は2015年、フジテレビの関東ローカルの深夜枠で『南くんの恋人~my little lover~』と題し、南くん(南瞬一)を中川大志(当時17歳)、ちよみを山本舞香(同18歳)が演じた。

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 これまでの3作では、ちよみは事故の衝撃で身体が小さくなってしまうが(ただし最初のドラマでは彼女の祖母もかつて小さくなったことがあるという設定だった)、本作では舞台となる地方に伝わる「一寸法師」ならぬ「一寸姫」伝説が、彼女の身に降りかかるという伝奇的な展開を見せる。監督の小中和哉は、『転校生』『時をかける少女』などで知られる映画作家の大林宣彦から大きな影響を受けるとともに、円谷プロの作品を多数手がけてきたせいか、本作にも全編を通してファンタスティックな雰囲気が漂う。

2015年放送のドラマ『南くんの恋人~my little lover~』で“4代目ちえみ”となった山本舞香 ©時事通信社

それまでのドラマ版にはなかった設定も

 南くんは原作ともそれまでのドラマ版とも違うクールなキャラクターで、幼なじみでありながらちよみを拒み続ける。だが、じつはそこには彼の複雑な生い立ちが絡んでいた。ちよみもまたほかの作品とは一味違い、ダンス部に所属してダンサーを目指す一方で、ネットの投稿サイトで小説を発表したりと多才ぶりを示す。その小説を読み、彼女に好意を寄せるのが、二人のクラスメイトでフィギュアマニアの高木陸(鈴木身来)だ。陸は南くんを恋敵と見なしながらも、物語後半ではあることをきっかけに彼を応援するようになる。

中川大志と山本舞香主演の『南くんの恋人~my little lover』(2015年/フジテレビ)

 そもそもこのときのドラマの原作は『南くんの恋人』とはなっているものの、放送の2年前に単行本が出ていた『南くんは恋人』(詳細は#1参照)の要素も一部使われている。高木陸のキャラクターも、『南くんは恋人』に登場する居原理久(いるはらりく)という人物が原型だ。