「バラエティを頑張れば、いつか女優につながる」

「バラエティを頑張れば、いつか女優につながる」。そんな思いでバラエティ番組に出演し、同じ事務所の劇団ひとりなどに鍛えられるうちに、野呂の姿は次第に脚本家やプロデューサーの目に留まるようになる。18年の舞台『同窓会ディスコ』で野呂を起用した脚本家で映画監督の井上テテ氏も、「『ゴッドタン』(テレビ東京系)で、身体を張ってコントに挑む野呂さんを見て面白いと思い、オファーした」と話す。

「その頃の野呂さんは演技経験が少なかったはずですが、エチュード(即興演技)をやってもらったら抜群にうまくて驚きました。役になり切ったまま、リズムよく言葉を繰り出していて、バラエティで培った間の取り方や、言葉選びが活かされているように感じた」

 現場での野呂については、「盛り上げ上手でサービス精神旺盛な方。私に稽古場にあったギターで、テツ and トモのモノマネをやらせておいて、審査員風に面白くないと突っ込んできたり(笑)。一方で演技のこととなると、『これで大丈夫ですか?』と不安げで、『バラエティ畑の人間だから……』と自信が持てない様子もあった」(同前)

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SDN48にいたことも

21年女優としてブレイク!

 しかし、20年に結婚した5歳年上のTVディレクターの夫の支えもあったのだろうか。21年の月9『ナイト・ドクター』(フジ系)での頼もしい看護師の演技が評判を呼び、コメディリリーフ的な役どころを担える女優としてブレイクした。そんな野呂の魅力を井上監督はこう語る。

「誤解を恐れずに言うなら、野呂さんって“ちょうどよく嫌な奴”(笑)。人間をよく観察していて、人のイヤ〜な部分を的確に表現して笑いに変えることができる。『退屈なエンドロール』(23年)という映画で、野呂さんが女性と喧嘩になってドンと体を突き飛ばすシーンを撮った時、相手の女優さんのよろける演技を見た野呂さんはアドリブで、『そんな強く押してねーだろ!』と言い放った。ちょっと意地悪だけど面白い、野呂さんらしいセリフだなと思い、採用しました」

 今年は、「10月クールのテレ朝系ドラマ『ザ・トラベルナース』の続編にも出演予定」(ドラマ関係者)。“ちょうどよく嫌な奴”へのラブコールは続きそうだ。