1996年にグラビアデビューすると人気を博し、その後バラエティー番組やドラマでも活躍した小島可奈子さん(48)。結婚後は地元である福岡に住まいを移し、美容ドリンクのメーカーを経営している。グラビア時代の葛藤から、ADHD(注意欠如・多動症)の娘への思い、16年ぶりとなる写真集「凪-NAGI-」で一糸まとわぬ姿を披露した理由まで明かしてくれた。(全3回の3回目/最初から読む

小島可奈子さん 筆者撮影

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健康食品通販会社の経営を手がけながら両親と叔父を介護

ーー小島さんは現在、健康食品の通信販売を手掛ける「And you.株式会社」を立ち上げ、社長を務めています。どうして経営者の道を進むことになったんですか。

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小島 もともとはある美容ドリンクのモデルとして誘われたんです。ただ最初に誘ってくれた方はいなくなり、従業員だけが残ったんですよ。商品自体もいいものだし、自分で商品を作りたいという気持ちもあって会社を立ち上げました。

 会社を立ち上げるとき娘は3歳で、主人は単身赴任中。なので子育てを母に手伝ってもらおうと思っていたんです。でも立ち上げと同時に母の末期がんが見つかって。そこから母を見送るまで2年。さらに父も慢性心不全でペースメーカーを入れていて、すぐに心臓に水がたまって呼吸困難になって危険な状態になってしまうんですよ。もう4~5回は危篤になっていて、そのたびに救急車を呼んで助かっています。今も一緒に住んではいないですけど、近所でいつでも手助けできるようにしています。

ーー小島さんはお父さんだけでなく、おじさんも介護されているそうですね。

小島 独り身のおじがいるんです。東京で60歳くらいまで働いていたんですけど、なにかに傷ついたらしく突発的に仕事を辞めて、ヒッチハイクで九州まで戻ってきたんです。それから、うちの実家にいたんですけど脳梗塞で倒れて、今は施設にいます。一般的に見れば社会性があまりない人ではあるんですけど、小さい頃に遊んでくれた優しいおじさんなので。

筆者撮影

せめて隣にいる誰かのために

ーー社長業はいかがですか。

小島 向いてないです(笑)。一般的なかっこいい、頭の切れる経営者にはなれないなというのはわかりました。ただ、これからの時代の面白いところだと思うんですけど、今までのセオリー、マニュアルは通用しないと思うんです。今は会社を立ち上げて7年目ですけど、そういう意味での新しい形はできるかなと思っています。

 普通の会社を作りたいわけじゃないんですよ。いま、うちのスタッフにシングルマザーの子がいるんですけど、前の会社ではお子さんが熱を出して休んだらクビになっているんです。ご縁あってうちの会社に来てくれた人に「じゃあ、この子が会社にいるにはどういう体制にすればいいんだろう」と考える。せめて隣にいる誰かのためになるのが嬉しいです。

 きっと私が計算をするようになったらうまくいかないと思うんです。でも、この商品が好きで広めたいとそれだけを思っていれば、向こうからチャンスがやってくる。だから、運だけかもしれないですね(笑)。会社をやっていたからこそ、今の私を編集者の方が知ってくださって、今年出版したヘアヌード写真集の話にも繋がったと思います。