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昭和の商店街は「シャッター街」化しているというけれど…

 そんな歴史は、いまの亀有にもしっかりと根付いている。亀有駅南口から水戸街道に向かって歩く道筋は、どこをとっても商業エリア。駅前広場を中心に放射状に大きな道路が通っているが、いずれを見ても賑やかだ。

 

 南口の一帯でいちばん古い道筋は、南東に向かって伸びる宮前通り。そのまま進むとかつて日本紙業の工場だったアリオ亀有の目の前に出るのだが、その脇には“宮前”の通りに亀有香取神社が鎮座する。アリオ亀有の南をかすめる水戸街道を東に行けば、中川を渡って新宿町だ。

 宮前通りと亀有銀座通りに発するゆうろーどとの間は、細いアーケードの仲町商店会によって連絡されている。小さくも味のありそうな店がならぶ、いかにも下町らしい商店街である。

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 チェーン店の看板がどうしても目立つようになっていて、駅の南も北も姿形はだいぶ変わってきているのだろう。それでも、亀有駅の周りには、昭和の下町商店街の雰囲気が、令和のいまにもしっかりと残っているといっていい。

 

 昭和の商店街というと、だいたいがシャッター街になっていて廃れている、などという話はよく耳にする。けれど、それは地方都市の話であって、1000万都市・東京ではそれはあてはまらない。まだまだ駅が町の中心的な役割を担っている限りは、こうした町の形が大きく変わることはないのかもしれない。

 

 そして、こうした亀有の賑やかさには、こち亀もいくらか貢献しているのだろう。南口の商店街の中には、少年時代の両さんの像まであった。南口駅前広場には、あっちにもこっちにも両さんが。

 両さんはひとりしかいないんですよ、なんてことはなく、いろんなところに両さんが出没するのだから、こち亀ファンは歩いて飽きない町である。