いまから25年前のきょう、「9」が5つも並んだ1999年9月9日、アイドルグループ・モーニング娘。が7枚目のシングル「LOVEマシーン」をリリースした。

 この曲が初めて人々の前で歌われたのは、シングル発売の1週間あまり前の日曜の8月29日、東京・よみうりランドでの披露イベントだった。その翌週の9月5日には、モーニング娘。を輩出したオーディション番組『ASAYAN』(テレビ東京系)でテレビ初披露されている。筆者もたぶんそのとき初めて、彼女たちがこの曲を歌い踊るのを見たと思うのだが、そのときの衝撃はいまだに忘れられない。それは「何だこりゃ!?」と言うしかないものだったからだ。

1999年9月9日に発売された「LOVEマシーン/21世紀」(初回生産限定盤7インチシングルレコードのジャケット写真)

『ASAYAN』オーデションの落選者で結成

 そのサウンドは往年のディスコナンバーを彷彿とさせ、メンバーはファーのついた派手な衣装をまとい、まるでタコ踊りのようなへんてこりんな振り付けで踊り、曲のあちこちで合いの手を入れる。歌詞もまた、「日本の未来は 世界がうらやむ 恋をしようじゃないか」などと、不景気が続く日本に向けての応援歌のようでもある。とにかくすべての要素がインパクト大だった。モーニング娘。のこの年に入ってからの3作のシングルは「Memory 青春の光」「真夏の光線」「ふるさと」と、王道ともいえるアイドルソング路線で来ただけに、まさかこんな方向で来るとは誰も予想しなかっただろう。

ADVERTISEMENT

 そもそもモーニング娘。はこの2年前の1997年、前出の『ASAYAN』での企画「シャ乱Qロックヴォーカリスト・オーディション」の落選者から中澤裕子・石黒彩・飯田圭織・安倍なつみ・福田明日香の5名を選んで結成された。メジャーデビューのためシングル「愛の種」を手売りで5万枚を売り切るというノルマを課せられ、見事達成すると、翌1998年1月、ロックバンド・シャ乱Qのボーカルだったつんく(2001年に「つんく♂」と改名)のプロデュースによりメジャー1stシングル「モーニングコーヒー」をリリースした。

メジャー1stシングルの「モーニングコーヒー」。(左から)石黒彩、福田明日香、安倍なつみ、中澤裕子、飯田圭織

 同年5月には、保田圭・市井紗耶香・矢口真里が加入し、総勢8人体制となる。「LOVEマシーン」のちょうど1年前に発売された3rdシングル「抱いてHOLD ON ME!」はグループ初のオリコン1位となり、暮れの日本レコード大賞で最優秀新人賞を受賞、NHKの紅白歌合戦にも初出場を果たす。

 しかし、1999年に入ると4月に福田が卒業し、7月には前出の『ASAYAN』の企画で、6thシングル「ふるさと」が同日発売の鈴木あみ(現・鈴木亜美)の「BE TOGETHER」とオリコンチャートの順位を競い、初登場5位で敗北を喫する。3期メンバーとして後藤真希がグループに加入したのはその翌月のことだ。