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独裁国家と宗教の関係は?

入山 そう考えると、民主主義とイスラム教というのは、立場によると思うんですけど、私から見ると相性悪いんじゃないか。つまり、民主主義になればなるほど、非常にイスラム色が極端に強い政党が力を持ってしまって、それが国内外にいろんな波紋を広げる。日本は仏教や神道の国ですけど、仏教や神道とかキリスト教というのはたまたま民主主義と相性が良くて、イスラム教というのは意外と民主主義と根本的に相性が悪いみたいな可能性はあるんでしょうか。

池上 たとえば、仏教の国でもミャンマーは軍事独裁政権です。あるいは南米にしても、アフリカにしてもキリスト教の独裁国家っていくらでもあるので、そこはなかなか宗教と軍事政権というのはくっつけることは難しいなと思うんですよ。簡単に一般化できないということですね。

 イスラム教というのは、最初の段階では民主主義と親和性が結構高いんですよね。イスラム教は神の下で全員平等ですよね。全員平等ってことはある種、民主主義じゃないですか。だから1人1票持つんだよって、みんなで決めればいいんだよっていうことになると、結果的にイスラムの考え方って、民主主義と実は親和性が結構あったりするんです。ただしそこで政権を取った人間によって、すべてをイスラムにしようということになると、本当の民主主義とはずれていくことになる。

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入山 面白いですね。だからこそ、民主主義で選挙で勝っちゃうんでしょうね。問題は勝った後で、逆に混乱が起きるっていう。話を伺えば伺うほど、中東は本当に複雑ですし、でも今日その一端がわかったような気がします。ありがとうございました。


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