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17歳のときに、親から逃げて一人暮らし

 家にいると好きな漫画を自由に描けない。そんな思いから中高生の頃から家を遠ざけ始め、友達の家に外泊することが増えた。そして、17歳になると、家を出て一人暮らしを始めたという。家賃は3万円で風呂・トイレは共同。当時は審査なども緩く、保証人の書類に自分で親のサインを書いて、「親にサインをもらいました」と不動産屋に提出すると、すぐに新居に入れた。

 渡辺さんの漫画関係のものをすぐに捨てるわりには無関心なところもあり、親は渡辺さんが家を出ていく準備を着々と進めていたことにも気づかず、引っ越してからも特に連れ戻しに来ることもなかったという。

 一人暮らしをしてようやく親から解放されて自由になれた。

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「高校卒業後はそのままエスカレーター式で入れる短大に進学し、幼児教育学を学びました。なんだかんだ学費は親が払っていたようです。短大在学中も漫画を描き続け、卒業後は1年間原宿のクレープ屋で働きながら漫画家を目指していました。そんなとき、漫画家志望仲間が同人誌を作るという話になり、『あと3ページ足りないから何か描いてほしい』と頼まれました。それで3ページ分のイラストを描いたのですが、それがとある編集者の目に留まり、商業漫画家としてデビューすることができました。ちなみにデビュー作は成人向け漫画です。漫画家デビューできたことが嬉しくて親に報告したら、やはり『そんなヤクザな仕事はやめろ』と反対されました」

 親にはそう言われたものの、渡辺さんは念願の漫画家デビューを果たす。その後、漫画の仕事をしながら自営業でホームページを作成する仕事も請け負っていた。彼女もできて同棲をしていたがある日、仕事の打ち合わせに出かけようとした瞬間、体が動かなくなってしまった。