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応援と批判、2つの反応があり混乱した

 世間の反応とは反対に、私の周囲からは非難ごうごう。母に電話したら、何も言ってくれなくて黙り込んでいました。友達のフェミニストに「あれでよかったのかなあ?」と電話で相談したら、「しょうがないよね。誰にでも間違いってものがあるんだから」と言われて、「エーッ!」となりました。

 すごく悩んだのは、私の津田塾大学時代の指導教官で、一番尊敬している先生から絶縁されたことです。番組に出て1週間くらいしてから、「大学教授があんな番組に出て笑いものになってどうするんだ。俺は恥ずかしい」と言われて、破門されました。のちに「あなたがテレビに出演する意図が分かったから、破門をとく」と言われて、一緒にまたお酒を飲めるようになりましたが、そのときはとてもショックでした。

 異なる2つの反応があったことで、私は苦しむことになりました。「がんばって」「面白かったよ」と応援してくれる人たちがいる。電車のなかで、子どもを連れたお母さんが私のところに来て、「先生、私が言えなかったことをよく言ってくれました」と涙を流しながら言われて、びっくりしたこともありました。その一方で、身近な人たちから悪口を言われたり、批判されたりするわけです。私は誰の言葉に耳を傾ければいいのか分からず、混乱していました。

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『笑っていいとも!』(2002年撮影)©文藝春秋

 結局、『笑っていいとも!』には全部で10回は出演しています。最後の出演日には、私が美空ひばりさんの歌を歌って、後ろでタモリさんと鶴瓶さんがひっくりかえるなんて楽しい場面もありましたが、裏ではずっと悩んでいました。その間は胃を痛めて、生放送が終わると軽井沢に引きこもって、おかゆを食べていたのです。