「日本でいちばん有名なフェミニスト」として、長年テレビ番組などのメディアで活躍してきた田嶋陽子さん(83)。近年、SNSを中心にフェミニズムへの関心が高まるにつれ、その功績を再評価する動きも出てきています。

 ここでは、そんな田嶋さんが9月20日に上梓した『わたしリセット』より一部を抜粋して紹介します。『ビートたけしのTVタックル』で繰り広げた男性出演者たちとの激しい議論、その裏側には一体どんな感情ややりとりがあったのでしょうか――。(全4回の2回目/最初から読む

田嶋陽子さん Ⓒ文藝春秋

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『ビートたけしのTVタックル』での戦い

 1990年代のテレビには、女の側から本音を言える番組が全くありませんでした。だから、もし今後も出るようなことがあるなら、必ず女の話をしようと決めていました。

 そしたら、今度は『ビートたけしのTVタックル』に呼ばれました。私はまたしても番組を見たこともなければ、たけしさんのことも知らなかった。たまたま、たけしさんが雑誌に書いた記事を見つけて読んでみたら、「男女平等なんていってるけど、女なんて一発やればこっちのもんだ」なんて書いてある。だから、それをコピーしてスタジオに持っていって、「これはおかしいよ」ってガンガン言ってやりました。

 そのときは対等に議論できたつもりでしたが、2時間半の収録が45分に編集されると、私の反論がカットされていました。しかも、どのコーナーもたけしさんの言葉で終わっていますから、見てる人はたけしさんが正しいと思うでしょう。私が「でもね」と反論したところから全部なくなっていて、私が言い負かされているように見えるわけです。そうか、これが編集というものかと思いましたね。

 あとで、ディレクターのひとりが「あいつは誰のテレビに出てると思ってるんだ」と言っていたと聞いて、よく分かりました。番組には主人がいて、私はその主人をよりよく見せるための素材でしかなかった。結局は、たけしさんという主人を立てるために編集があるのです。