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 石原慎太郎さんは、収録が終わってから陰で謝ろうとしてくるんだけど、自分では絶対に直接言わない。阿川佐和子さんを通じて「田嶋さんに謝っといてくれ」って。謝るのならその場で謝ってほしかったですよ。

 他にも、ずるい男は議論で負けそうになると「田嶋さんは最近、キレイになったね」などと言ってきました。容姿を褒めれば、相手が一瞬、ものを言えなくなると知っているからです。口封じのための褒め言葉ですよ。相手が男だったらそんなこと言いませんから、それもやはり女を議論の相手として対等に見ていないということです。

 最初のころは、たけしさんも「差別差別と言ってないで、男は勝ち取ってきたんだから、女も自分たちで勝ち取らなくちゃ」と言うから、私は「じゃあ、その足どけてよ」って言い返していました。男が女の足を踏んづけている限り、女は能力があってもそれを発揮するのに倍の力がいるわけですから。

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ゾマホンさんと仲良くなって、たけしさんは変わった

 でも、何年か経って、たけしさんがアフリカから来たタレントのゾマホンさんと仲良くするようになってから変わりましたね。あるとき、たけしさんが「先生が女に下駄をはかせなきゃいけないと言ってたのが、よく分かったよ。アフリカ見てると、抜け出そうと思っても抜け出せないもんな。ある程度、下駄をはかせないとダメだよ」と言ってくれました。それはすごくうれしかった。たけしさんは実は感性の鋭い人。私の言うことを一番わかってくれていたと思います。

ビートたけし Ⓒ文藝春秋

 私は『タックル』に出ているときは、なるべく他の番組には出ないようにしていました。スタッフにも出ないでほしいと言われていましたから。私がいろいろな番組に出ると、視聴率が上がらなくなるからでしょう。そもそも、私は『タックル』だけで精一杯で、他の番組には出る気もありませんでした。

 私が『TVタックル』にレギュラー出演するようになったのは1991年、ちょうど50歳のときでした。90年代は『TVタックル』にはじまり、『TVタックル』に終わった感じがします。