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 番組が放送されたら案の定、フェミニストの人たちから批判されました。私のところへわざわざファックスを送ってくる人もいて、「なんでもっとはっきり反論しないの」と書いてあった。でも、現場ではちゃんと言い返しているのです。悔しいからテレビ局に証拠として生のテープをもらいに行ったら、せっかくだから出てくださいと言われて、そんなこんなで何度か出ているうちにレギュラーになりました。

 私のテレビ出演は、編集との戦いでもありました。制作側にしつこく文句を言い続けたら、編集で私の発言をスパッと切ったり、たけしさんに遠慮して何かしたりすることはだんだん少なくなりました。比較的、ものが言いやすい環境になった。それでも、共演者の暴言があまりにもヒドくて頭にきたときは、収録の途中で席を立って帰ったこともありました。

議論の風向きが悪くなると「半端者」呼ばわり

 民放のテレビは視聴率がすべてです。女のことを取り上げてくれたとはいえ、議論の相手にゴリゴリの保守派のオジサンばかり連れてきて、私と対決させようとする。つまりは、番組を盛り上げて視聴率を取るために、私を怒らせたかったのでしょう。

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 そのころは女の人が人前で怒るのは「女らしくない」ということで御法度で物珍しかったのです。だから、私が怒ったり、きつくなったりしていると、そのぶん女の人の評判が下がるわけです。誰も私のことを女と思ってなかったかもしれないけど、女の人たちがイヤがりましたね。

Ⓒ文藝春秋

 その一方で、男の人は私を攻撃した方が自分のファンが増えると思っていますから、やっつけようと必死でした。議論の風向きが悪くなると、私が独身だということに目をつけて、「半端者」呼ばわりしてきました。結婚や出産を経験していない女は、半人前だから対等にものを言う資格がないと言いたいわけです。

 ある音楽家なんてよっぽど悔しかったのか、突然、「あんたと寝たいとは思わない」と言い出しましたからね。むしろこっちが心配になったほどです。やれ文化人だ、やれ評論家だといっても、女と男の問題になるとすぐに男は馬脚をあらわします。

 当時、舛添要一さんも議論に負けそうになると、私のことを「ブス」と言いましたよ。だから、私はお返しに「ハゲ」と言ってやりました。最近も番組でときどき会いますが、「お久しぶりです。ますますお変わりなく」なんて、なんだか豹変しちゃってますけど。