中露朝の暴走をくいとめるべく、連携を強化
今回の空母打撃群の初来日は日伊海軍の関係強化と「自由で開かれたインド太平洋」の理念の下、イタリア海軍のインド太平洋地域への関与強化も目的としており、それはこの地域の「力による一方的現状変更」を目論む中国を念頭に置いたものであろう。それくらい中国の脅威は遠くヨーロッパにまで忍び寄っているのだ。「カヴール」が停泊している逸見埠頭に停泊中の「いずも」や米軍基地に停泊中だった原子力空母「ロナルド・レーガン」が中国人の情報部員と思われる人物の放ったドローン(無人機)に直上から撮影されていたくらいである。
東京もあわせて、この8月にはドイツ海軍のフリゲート「バーデン・ヴェルテンベルク」、補給艦「フランクフルト・アム・マイン」、フランス海軍フリゲート「ブルターニュ」、オーストラリア海軍駆逐艦「シドニー」、イタリア海軍からはさらに哨戒艦「モンテクッコリ」までが入港し、まるでNATO軍港みたいになっとるのである。
8月27日には台風10号の接近のせいもあるがそれらが一斉に出港、さらに「カヴール」のホストシップでもある「いずも」や護衛艦「おおなみ」、潜水艦、P-1哨戒機まで加わり、沖縄沖太平洋上で日独伊、3国に仏豪まで加わり「自由で開かれたインド太平洋」の実現、これすなわち中露朝の暴走をくいとめるべく、連携を強化するため、合同戦術訓練「ノーブル・レイブン24-3」を実施したのであった。
空母を運用している海軍は少ない
現在実際に空母を常時運用している海軍は、実は核保有国より少ない。米海軍の11隻の満載排水量10万t超の原子力空母は別格として、米海軍はさらに「カヴール」と同じくF-35Bやハリヤーの発着ができる軽空母ともいっていい強襲揚陸艦もいれたら20隻である。先述のロイヤル・ネイビー(英海軍)も第一次世界大戦末期にはすでに世界初となる空母のような全通甲板を持つ「アーガス」を配備し、現在も「クイーン・エリザベス」と1941年帝国海軍の航空部隊により撃沈された戦艦と同じ名の「プリンス・オブ・ウェールズ(英皇太子のこと)」の2隻のスキージャンプ台を備えた空母を就役させている。この2隻もスキージャンプ台と艦橋を2つ備えた独特の形状で満載排水量6万tを超える。
フランスは原子力空母「シャルル・ド・ゴール」を1隻だけである。アメリカ以外で唯一蒸気カタパルトを備え、そのおかげで燃料満タン、重い核弾頭搭載のミサイルを吊った攻撃機にもなる「ラファール」M型戦闘機も発艦できる、フランスは世界で唯一核兵器を搭載した空母を運用していることになるが、核兵器の持ち込みを禁じた非核三原則を唱える日本には入港できんことになる。アメリカの原子力空母は建前上、核兵器を搭載してないことになっているので、横須賀を母港にできるのである。