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 そしてパキスタンと中国との間で国境紛争を抱えるインド。ロイヤル・ネイビーの流れを汲むインド海軍がちょい前までは空母はロシア製やったが、現在は初の国産空母「ヴィクラント」を就役させている。なお艦載機はフランスと同じ「ラファールM」になるかもしれない。もひとつさらにスペインも「ファン・カルロス1世」を、タイ海軍までもスペインで建造された「チャクリ・ナルエベト」を保有しているが、空母として就役していた時期はほんとんどない。

©宮嶋茂樹

空母は金がかかり、運用がむずかしい

 そして我らの隣国中国とロシア、この非友好的国家の二つまでもがいまは空母保有国なのである。ただし、中国はもと旧ソ連製の中古空母「遼寧」とその後は国産空母2隻を就役させているが、その生産国ロシアに至っては前世紀に就役した「アドミラル・クズネツォフ」1隻のみである。その1隻さえもまともに運用されたことはほとんどなく、事故と火災まみれとほとんどをドックに入ったまんまという体たらくである。つまり空母は、あの5580発という世界最大の核弾頭保有国であるロシアでさえもてあますほど、金がかかり、運用がむずかしいのである。

 そして最後に今回来日を果たしたイタリア海軍も「カヴール」のほかにも「ジュゼッペ・ガリバルディ」と2隻保有している。核兵器と違い、空母は先の大戦の敗戦国は保有できない条約もない上に、日本国憲法のどこにもそんなこと書いてないのである。ただ我が国は専守防衛の原則のもと、他国を侵略できうる空母の保有を政治的理由で「自粛」しとったものの、昨今の中国の「力による現状変更」による台湾、沖縄、尖閣有事に備え、空母保有に踏み切ったのである。あれだけ南シナ海の環礁を国際司法裁判所の判決を無視して、かってに埋め立て、軍事基地化し、フィリピン、ベトナム等と紛争をひきおこし、今や我が国の尖閣諸島周辺まですでに実質中国の海と化してしもうたのである。

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©宮嶋茂樹

空母機動部隊を実戦ではじめて使用したのは日本

 だが我が国には中国、ロシアにはないものがある。それは空母運用のノウハウである。ちなみに世界で初めて空母を製造、配備したのは先述の通り、英国やが、大規模な空母機動部隊を実戦ではじめて使用したのは日本である。戦後79年の空母空白期間を埋めるにはアメリカはもちろん、イタリア海軍との共同訓練は不可欠であろう。明治に入ってから創設された帝国海軍より先立つこと「ルネッサンス期」にはすでにイタリア海軍は活動しており、「カヴール」「アルピーノ」の艦尾にも掲げられたイタリア海軍旗にもその4つの海洋都市国家の紋章が描かれているとおりである。そしてやがて日本の“空母”となる「いずも」「かが」にも搭載されるF-35Bを今回「カヴール」は搭載してきているのである。

 これらの訓練が実際に役立つ日が来ないにこしたことはないが、隣国に国防に充分な備えがないと知るやためらわず侵略する国家が21世紀にもなって存在することを隣国は証明しよったのである。「備えあれば憂いなし」までまだ程遠い。

撮影 宮嶋茂樹

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