――番組内では樹木さんが吉村さんを「雰囲気がいいでしょ」と紹介していて、吉村さんのことをとてもかわいがっている感じが伝わってきました。
いやー、なんででしょうね?(笑) 完成披露舞台挨拶の時にお会いしているのですが、僕の格好を見た樹木さんは開口一番、「あなた、スタイリストとかヘアメイクとかいるのね! なんかすごい偉そうだね~」と(笑)。「あ、すみません」って言うと、「いやいや、いいのよ、いいのよ」って笑っていました。もちろん、樹木さんは本当にそう思っているわけじゃなくて、僕をちょっと弄りたかっただけだと思うんです。その樹木さんのユーモアが心地いいんです。
――樹木さんが亡くなったのは、2018年9月15日でした。映画の公開4ヵ月後の訃報には驚きましたか?
そうですね。驚きました。撮影は2017年頃だったと思うのですが、当時の樹木さんは本当に元気だったんです。初日が終わった後には、「今日、一人で高速乗ってきてさ、もう後ろからめちゃくちゃ煽られて大変だったのよ」と言って愛車のミニバンに乗って、「じゃあ、私また運転して帰るわ。またね」って。当時は東京と千葉の間くらいの場所で撮影をしていたんですが、樹木さんは毎日一人で高速を運転して現場に来ていたようです。本当に元気な人でした。
樹木さんは「そういう君に、私は懸けてるよ」と...
――樹木さんは吉村さんに、「君に懸けてるから、私は」ということも仰っていた。
時間が経ってしまって、どんどん記憶が美化されたり、逆にそんなこと言ってたっけな?と思えてきたり……。正直に言うと、本当のところはうろ覚えなんです。でも、「そういう君に、私は懸けてるよ」、「そのままでいてね」みたいな言葉をいただきました。
――どういう風に受け取りましたか?
うーん、当時は今よりももっと自分を客観視できていなかったですし、「そうなんだ、樹木さんはそう思ってくれてるのか」みたいな。樹木さんの言う、「そのまま」っていうのは結局どういうことなのかな?と、今も考えています。