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「肝心なときに、リーダーが何やってんだよ」

 スタッフたちの深刻な話が続くなか、メンバーがひとり、またひとりと集まってきます。木村拓哉さんが来て、香取慎吾さん、草彅剛さんと続き……。中居さんだけが、その後1時間ほど待っても姿を現さない。「肝心なときに、リーダーが何やってんだよ」という雰囲気になったとき、ひょっこり登場しました。

木村拓哉 ©時事通信社

 そうしてメモを取り出し、こう言います。

「とりあえず吾郎がいない場合の構成、考えてきたから。異論があったら何でも言って」

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 中居さんはその1時間あまりで、稲垣さん抜きのコンサート構成案をつくってきていたのです。グループの進むべき道を見極め、次にやるべきことを先んじて示す。これぞまさにリーダーのふるまい。間近に見ていた僕は、中居さんの言動にシビれました。

「徹底的に厳しい内容にしてほしい」

 稲垣さんはしばらくの謹慎を経て、『SMAP×SMAP』で復帰します。その回は生放送となり、稲垣さんが登場する前に、まずはこれまでの経緯をVTRで見てもらう構成となりました。

 そのVTRについて、中居さんがスタッフに要求をしました。徹底的に厳しい内容にしてほしい。いけないことをしたのは事実なのだから、それをちゃんと世の中に包み隠さず伝えなくちゃいけない、ニュース素材も入れ込みながら検証に堪えるものにしたいとのこと。

 それで、スタッフ側がつくったVTRの構成をいったん破棄して、イチからやり直しました。放送前日には、中居さんが編集室にまで顔を出して、「この場面の映像は外さないでね」「ナレーション、こうしよう」と細部までともに確認していきました。

 放送後、このVTRは非常に高く評価されました。SMAPというのは、ガチガチに守られた単なるアイドルじゃない、自分たちの言葉で語れて、しっかりとした意志を持つ、自立した大人たちの集団なんだという認識が広がりました。

 反省を示す場できちんと説明責任を果たし、けじめをつけることによって、グループの価値を一段高めてしまう。どこまで狙ってやったのかはわかりませんが、中居正広さんの天才的なプロデュース力が光る結果となったのでした。