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中居はピンチのときこそ先頭に立った

 中居正広さんの成し遂げたことは、アイドルがバラエティーでも活躍するという流れをみずからつくり上げただけに留まりません。そこで獲得したプロデュース能力を、リーダーとしてSMAPというグループを引っ張っていくことにも、大いに発揮していきました。

 例はいくらでも挙げられますが、メンバーの森且行さんが脱退するときの会見も、素晴らしかった。

 1996年、人気絶頂のSMAPから森さんが脱退し、オートレースの世界へ飛び立つこととなりました。そのことが世間に知られるようになり、森さんの囲み会見が開かれることとなりました。

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 大いに注目される会見、いざ始まるぞとなったとき、会場に姿を現したのは森さんではなく、中居さんでした。第一声で、

「あいにくモリクンのスケジュールの都合がつかず、欠席となります」

 と言い出し、記者たちに「おかしいでしょ」とツッコまれ笑いをとる。そう、空気を和ませ、森さんを助けようと、いっしょに会見に出て場を回すことを買って出たのです。

SMAP ©文藝春秋

 森さんが登場してからも、本人が答えづらいだろうなという質問に対しては、中居さんがギャグにして返していく。もちろん言わなきゃいけないことはしっかりと主張しながら。

 中居さんはこのときまだ23歳です。こんなことができる23歳が、世にどれほどいるでしょうか。

 メンバーの稲垣吾郎さんが逮捕されたときもそうです。

 稲垣さんは2001年に渋谷の路上で、道路交通法違反と公務執行妨害での容疑で現行犯逮捕されてしまいます。

 マネージャーの飯島三智さんのもと、渋谷のホテルに「対策本部」のような場所が設けられ、スタッフとメンバーがただちに招集されました。SMAPはコンサートツアーの最中で、次の公演はもちろん中止だろうと思ったのですが、会社の方針は「絶対にやる」というものでした。