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身近な人による支援の落とし穴

法外な葬儀代を請求された加代子は、息子を通じて東京の弁護士を依頼していた。地域の弁護士は住職と親しく、信頼ができなかったからだ。

地域には和夫や敏子のような人ばかりでなく、親身になってくれる人々も存在したが、小さなコミュニティーでは、被害者も加害者家族も少なからず人間関係に悩まされている。本件のような露骨な金銭の請求ならば法的解決に持ち込みやすいが、過剰な支援に「結構です」とは言えず、周囲に気疲れしてしまっているという相談も多く寄せられている。

だからこそ、使いたいときに利用できる第三者による支援が必要なのだ。

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失踪した娘の捜索活動が「売名行為」だと批判される

「いつになったら、私たちは被害者として救済される日が来るのでしょうか」

遠藤和夫の長女・萌は、ある日突然、行方不明になり、未だに消息がわかっていない。捜査が進展しない中、和夫はどんな小さな手掛かりでも欲しいと、一時、積極的にメディアに出演して情報提供を呼び掛けていた。世間から同情が集まり、和夫は悲劇のヒーローとして地元では議員に推す声まで上がった。

「萌がいなくなってから仕事に集中できなくなってしまい、出馬については前向きに検討していました。捜索活動を通していろいろな方と話をするのは気が紛れたし、私が少しでも有名になれば、情報が集まるのではないかとも考えました」

ところが、和夫は事件を利用した売名行為だとバッシングされるようになった。そして次第に、ネットの掲示板では、和夫が犯人ではないかという書き込みが増えるようになっていた。ある日、和夫が警察から呼び出しを受けると、警察には、和夫が萌を虐待していたという情報が寄せられているというのだ。

「萌ちゃんには障害があって、育てにくかったようですね。お父さんは随分と厳しく接していたようですね」

これまで被害者として接してくれていたはずの警察は、次第に和夫に疑いの目を向けるようになっていた。妻が電話に出ると、