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ホームを降りると改札以上に大きな階段が。進んでいくと…

 東山丘陵を抜ければ、もうすぐに山科駅に滑り込む。ちょっと高いところにあるホームから、階段を降りて通路を抜けて、南側にひとつだけの改札口を出る。すると、目の前にはJRの改札口以上に大きな口を開けて、地下に降りる階段が待っている。このまま地下に進めば、京都市営地下鉄東西線の山科駅に通じているようだ。

 

 階段を無視して先を見ると、そこにももうひとつ駅がある。京阪山科という駅で、京都と大津を結ぶ京阪京津線の駅である。

 つまり、山科駅は悲劇の一丁目などではなくて、3社3路線が乗り入れる京都市東部の交通の要衝なのである。それもただの要衝ではない。東山丘陵を隔てて隣り合う京都盆地、京都の中心市街地と、実に巧みに結びついているのだ(ちなみに京阪京津線は地下鉄と直通運転をしている)。

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 まずもって、JR琵琶湖線は京都駅という玄関口と直結する。それでいて、地下鉄東西線は京都盆地では南禅寺のすぐ近くを通って三条、二条城、行き着く先では嵐電と接続し、嵐山まで通じている。

 JR京都駅からはやや離れた、およそ徒歩圏内とは言い難い河原町三条をはじめとする京都でいちばんの繁華街にも、山科は直接結びついているのである。

 いちおう触れておくと、地下鉄で京都市街地方面ではない方向に向かうと、終点の六地蔵駅でJR奈良線か京阪宇治線と接続し、10円玉でおなじみ平等院鳳凰堂へのアクセスが簡単だ。京阪京津線で大津方面に出れば、終点は琵琶湖畔の浜大津。JR大津駅とはこちらもやや離れた、大津の町の中心市街地である。

 このように、山科という駅はとてつもなく便利な駅なのである。

大通りだらけの駅周辺。どの道も人通りが絶えない!

 だからというわけでもないだろうが、おかげで駅の周りも実に賑やかだ。JRの改札の脇にはビエラ山科という事実上駅ビルといっていい商業施設があり、京阪電車の踏切を渡った先には無印良品やユニクロも入る商業ビル「ラクト山科」。

 

 その間には、東から西へと旧三条通り、すなわち旧東海道が通っている。商店街も形成されているし、チェーン店から味のある個人店までが揃っている。

 さらに周囲を見渡すと、ラクト山科の南側(旧東海道の一筋南側)には京都府道143号線が東西に通っている。もともとはこちらが国道1号、つまり東海道のバイパスとして生まれた幹線道路だ。