北陸と関西は、昔から結び付きが強いのだとか。どう見たって、それは距離が近いからだろう。いまや北陸新幹線があるから、東京をはじめとする首都圏と北陸もだいぶ関係が強化されたという。
今年の春に新幹線が敦賀まで延伸したことで、東京からは北陸の大部分まで乗り換えナシで行けるようになり、一方では関西からは敦賀駅での特急サンダーバードから新幹線への乗り換えを要する、という状況が生まれた。
が、北陸最大の都市であるところの金沢から見ると、所要時間ではいまでも東京よりも大阪や京都の方が短い。長い歴史の中で育まれてきた関西と北陸の絆は、そうそう簡単に断たれるわけもないのだ。
北陸と関西を結びつける“ナゾの路線”「湖西線」
そして、である。そんな関西と北陸の絆を一層強固にしているのが、湖西線という鉄道路線だ。文字通り、琵琶湖の西側を駆け抜ける路線で、いまから50年前、1974年7月20日に開業した。その目的は、まさしく関西と北陸の連絡のためだ。
それまで、関西と北陸を結ぶ列車は、米原駅経由で走っていた。つまりちょっぴり遠回り。そこで、琵琶湖の西をまっすぐに走り抜けることでショートカットしようという狙いで、湖西線がお目見えしたというわけだ。
以来、当時の特急雷鳥、いまに続くサンダーバードといった主要列車はほとんどが湖西線経由になった。いまも、敦賀駅で新幹線に接続する特急サンダーバードは湖西線を走っている。
そういうわけで、関西から北陸に向かおうとする人は、誰しも(とっても風が強くて湖西線が運休にならない限りは)湖西線を通ることになる。すぐ西側には比叡山延暦寺などのある比良山地が迫り、東側には洋々たる日本一の湖・琵琶湖が見える。
大津京駅あたりは大津市の市街地といった雰囲気で、駅の周りにはたくさんのマンションが建ち並ぶ。そこから先も、しばらくは似たような車窓風景だ。
ごくわずかながらもサンダーバードが停車する堅田駅付近にも新しいマンションが建ち並んでいる。琵琶湖が近くて景色がいいし、それでいて京都・大阪までも新快速に乗ればあっという間。そんな湖西線沿線は、ベッドタウンとしてぴったりなのだろう。