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「このあたりって、夏でも涼しいんですよ。奈良と比べると、標高はそれほど変わらないのに過ごしやすさが違う。山のほうから琵琶湖に向かってすーっと風が吹いてくるから、窓を開けておいたらだいぶ涼しく感じます。そのぶん、冬はだいぶ寒いんですけどね(笑)。不便なことというと……お店が少ないことでしょうか。いまは3日に1回、今津まで買い出しに出かけています」(柳田さん)

 柳田さんの趣味はスノボだけではない。若い頃はオフロードバイクを楽しみ、いまでもバイクやスケボーなどにいそしんでいる。それだけ多趣味な柳田さんにとって、琵琶湖に近く自然も豊かな高島市の暮らしは、まさにぴったりなのだとか。

話に出てきた「おためし暮らし」って…?

 そんな充実した柳田さんの暮らしを支える「おためし暮らし」とはどのようなものなのだろうか。

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「おためし暮らし」は、現在、近畿圏の4自治体とJR西日本がタッグを組んで提供している、移住を検討している人に向けて短期間、数ヶ月ほどの文字通りの“おためし暮らし”をしてもらうためのサービスだ。

 スタートしたのは2021年。京阪神の都市部からだいたい60~90分くらいの圏内で、現在は高島市の他に丹波篠山市・南丹市・甲賀市が参加している。

 

 JR西日本京滋支社地域共生室の中西智弘さんは、「最終的には移住していただくことが目標にはなりますが、いきなり移住はハードルが高いので、そのハードルを下げるキャンペーンのようなイメージです」と説明する。

「参加してくれている自治体さんは、どこもそれぞれ移住促進に取り組んできています。空き家バンクや補助金、また移住のマッチングなど、すでにできあがっているやり方を持っている。そこに、私たちとしては横串になれるような、比較検討ができるポータルサイトを立ち上げて、移住前の短期生活を『おためし暮らし』と名付けて提供しています」(中西さん)

 各自治体にはプロジェクトにかかる広報費などの共通経費を拠出してもらい、JR西日本ではホームページの運営のほか、電車内の吊り広告や駅のデジタルサイネージなどを使った広告宣伝を展開。また、都心に通勤する利用者のために、通勤費の4割を補助する制度も運用している。