1ページ目から読む
3/3ページ目

「石破氏は高市氏との『究極の選択』で議員支持を得ただけ」

 あまりに右に傾くことにマズいと感じた自民議員が「好きじゃないけど石破に投票」だったということか。実際「石破氏は高市氏との『究極の選択』で議員支持を得ただけで、党内に人望があるわけではないことを政権運営で肝に銘じるべきだ」(政府高官・読売新聞)というコメントもあった。決選投票が究極の選択だなんて!

 今回の総裁選では、自民党の伝統的な知恵が働いたのだろうか。与党で居続けるための「悪知恵」と言ってもよい。今まで党内で野党的な立場とみられていた石破茂氏なら党の印象を変えられるという、選挙をしのぐためだけの「看板の掛け替え」にも思える。

はがされる岸田総裁のポスター ©時事通信社

 しかし石破氏は世論に近いことを言いつつ、すぐにブレる印象もある。党内にばかり顔を向けるようになれば世論はすぐに気づく。今までの批判精神を発揮できるかが問われる。

ADVERTISEMENT

 それでいうと私が石破発言で注目するのは「日米地位協定の見直し」だ。地位協定の特権によって、米軍関係者が日本国内で事件や事故を起こしても日本側が十分に捜査できないなどさまざまな問題が生じている。理不尽の塊である。見直すことができれば画期的だ。

石破氏に電話で直接取材!返ってきた答えは...

 しかし総裁選翌日に、読売新聞政治部長はこう釘を刺した。紙面上で石破氏に対し、《こうした意向が伝わるだけで日米同盟の信頼に影を落とし、日本の抑止力、外交力が低下しかねない。早期に軌道修正し、懸念を払拭するメッセージを出すことが不可欠ではないか。》と修正を求めたのだ。石破氏がブレる予感がプンプン。

 すると偶然なことに私は総裁選翌日に石破氏に直接質問をすることができた。前出の鈴木哲夫氏と時事通信の山田惠資(けいすけ)氏を招いて自民党総裁選と立憲代表選を総括するイベントをやったのだが、ライブ中に鈴木氏が石破氏に電話をかけたら本人が出たのだ。

©時事通信社

 私は「日米地位協定を本当に見直しますか、ブレませんか」と問うと石破氏は「ブレません」と言った。党内にばかり顔を向けることもない、と。

 言質がとれてしまった。ブレたら「公約違反」である。

 その一方で解散は国会論議を尽くしてからと言っていた石破氏だが10月27日の投開票という早い日程で動き出している。言ってることがもう変わり始めているように見える。

 本日石破氏は首相に選出されるが、裏金や旧統一教会問題も含めてなぜ岸田政権が退陣せざるを得なかったかを忘れ、おまけに主張がブレ始めたら早期退陣の匂いすらある。あ、まだ首相に就任していないうちからすいません。