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「苦々しいことに、ママ友やネットで知り合ったヲタ友やらが、いろいろ手ほどきして妻の活動を後押しするんです。

 帰省や旅行の相談をしても『この期間はツアーが入ると思うから空けておきたい』と渋るし、めずらしく親子3人で遊びに行こうと誘われたと思ったら、その場所がなにわ男子のロケ地だと後でわかって微妙な気持ちになりました。家の中も、タオルやスリッパが少しずつメンバーカラーの緑に揃えられていき、じわじわ侵食されているんです」

「なんで同じベッドに寝てる女が他の男のこと考えてるんだよ!」

 それでもAさんがギリギリで精神状態を保っているのは、妻が“家族そっちのけ”という状態には至っていないことが理由でした。

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「妻は家事に手を抜いているわけではないし、なにわ男子のファンになったおかげでパート仲間とも話が弾んで楽しいと言っています。推し活代もパート代の中でやりくりしているので、責めるところはありません。ありませんけど……このなんとも言えない口惜しさはなんでしょうか。

 先日、疲れてベッドに入ったら妻が背を向けたまま推しの動画を観ていました。時折肩をふるわせて笑ったり、はぁ~っと吐息をつくのが伝わってきて……。

 なんだかもうわけのわからない感情があふれて『なんで同じベッドに寝てる女が他の男のこと考えてるんだよ!』って声を荒げてしまったんです。

 妻は面食らって『はぁ? 大橋くんはアイドルなんだけど、何言ってんの?』と、ゴミを見るような目をして寝室を出て行きました。自分の心がせまいのでしょうか」

 最近では6歳の娘も妻と一緒になにわ男子の動画を観るようになり、ますます孤立を深めているというAさん。決定的な破綻は起きていませんが、不満は蓄積している、という「不満層」と言えるでしょう。