著者は20年以上シニア向けパソコン・スマホ教室を開催している講師。近年はシニアがスマホを「使いこなす」――自分のやりたいことを、自分のペースで、ひとりでできるようになることを目標に教えている。
カメラ機能は記念撮影だけではなく、メモ代わりにもなる。拡大機能はルーペとして使えるし、録音機能を使えば病院などでの大事な注意も聞き漏らさない。カレンダーは備忘録になるし、LINEを使えば初対面の人との連絡先の交換が簡単に。機能を教えるだけではなく、使い途も併せて解説する点が特徴だ。
「スマホに詳しくない人にとっては、そもそも何がわからないのかがわからない。電話の延長だと捉えているので、検索という発想もないんです。そうした根本的なつまずきを解消し、シニアだからこその使い途を提案したら、おもしろい本になると感じていました」(担当編集者の福田麻衣さん)
従来の類書なら飛ばしがちな、動作途中の中間画面をきちんと拾って掲載している点も、著者の経験のなせる技。読者層を意識した言葉選びも印象的だ。
「たとえば、高齢者には『タップ』の力加減がなかなかわからないんです。家電のボタンのようにギュッと押し込んでしまう。それに対して『テーブルの上のゴマ粒を指の腹で拾い上げる』感覚と説明できるのはさすがですよね」(福田さん)