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読者の約4割が60~70代! 小学生向けの暗算ドリルがシニア層にヒットしている意外な理由

『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(小杉拓也 著)――ベストセラー解剖

2023/09/12
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『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(小杉拓也 著)ダイヤモンド社

 本書は「おみやげ算」というちょっとしたコツを反復練習することで、19×19までの掛け算を素早く正確に暗算できるようにするドリルだ。著者は個別指導塾を主宰しているプロ算数講師。ビジネスパーソン向けの本も手掛けているが、本書はあくまで小学生をメインターゲットとして執筆された。ところが蓋を開けてみれば、少々意外な層に大きくリーチ。その結果、50万部を超す爆発的なヒットを記録している。

「小学生のお子さんがいる30代、40代の親御さんにご購入いただいているケースがもちろん一番多いのですが、それとほぼ差がないぐらいの割合で次点につけているのが、60代、70代の方なんです。読者の大体四割くらいが、そうした世代の方です。脳トレ需要も想定してはいましたが、これほどの勢いとは思いませんでした」(担当編集者の吉田瑞希さん)

 シニア層は老化防止、認知症予防などの目的で手に取っている人が多いという。

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「一段ずつ階段を登るようなスモールステップで解説しているので、大人には少し丁寧すぎるかもしれません。でも、そうすることで常に『できる』達成感を得られますし、シニアの方の満足感にも繋がっているようです」(吉田さん)

 自分用に買ったあと、孫にプレゼントして、世代間コミュニケーションのツールにしている人もいるそう。

2022年12月発売。初版6000部。現在15刷50万部(電子含む)
読者の約4割が60~70代! 小学生向けの暗算ドリルがシニア層にヒットしている意外な理由

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