タイトルは強烈だが、内容はいたって真面目な本書。日本国内の山や海などで実際に起きた死亡事故53例を元に、アウトドアにはどのような死の危険が潜み、それを回避するためにはどうしたらよいかを端的にまとめている。取り上げられている事例は、《転倒して死ぬ》《夏なのに寒さで死ぬ》などの山での死亡例のほか、《ダツに刺されて死ぬ》《カタツムリやナメクジに触って死ぬ》など、「そんなことで!?」と驚くような例も。親しみやすいイラストが豊富で、シビアな内容も抵抗なく読ませる。
「著者は長年、遭難事故の取材を続けていて関連の著書も多数。長野県の山岳遭難防止アドバイザーも務めています。この分野における著者の実績と信頼が本書のヒットに繋がったのでは」(担当編集者の手塚海香さん)
加えて直球のタイトルが読者の間口を広げたようだ。
「私も登山をしますが、山岳遭難のニュースなどを聞いているうちに『山は怖い、山で絶対に死にたくない』と強く思うようになってしまって。その不安を解消する安全啓発の本を作りたいと上長と話しているうちに、それなら逆説的に“これで死ぬ”という切り口でいこうとなりました。山関連の本は男性読者が多いですが、本書は約半数が女性読者。山に限らずアウトドア全般を楽しんでいる方が買ってくださっているようです」(手塚さん)