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加害者には同情すべきところもあるけれど…

 こういった負のサイクルを断ち切り、認知の歪みへの対処方法を教え、隠したい自分の問題や過去を正直に分かち合える場所をつくり、同じ問題を持った仲間につなぐ……これが加害者臨床の役割なのだと考えています。加害者臨床はよく「加害者を支援しているのでは?」と勘違いされることもあるのですが、これは治療教育であり、支援(ケア)ではありません。

写真はイメージ ©getty

 たしかにGには同情すべき成育歴があります。しかし、加害者臨床では、「原因」と「責任」は分けて考えます。「それはそれ、これはこれ」です。もちろん加害者が抱えた過去のトラウマをケアしないわけではありませんが、まずもっとも優先すべき重要事項は、加害行為を止めること、つまり新たな被害者を生まないことです。