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 2010年代初めに登場したときは「軽い出会い」という悪いイメージが先行して伸び悩んだが、いまや約220億円ほどの規模に成長した。

 そして、この急成長を支えているのは男性だ。マッチングアプリの利用者を男女別で見ると男性の利用者が圧倒的に多く、人気マッチングアプリ上位10社の利用者を平均すると、男性が約8割に女性は2割ほどだ(広告専門企業「インクロス」調べ)。年齢的には30代~50代の男性が多い。

韓国で人気のマッチングアプリ「WIPPY」

 マッチングアプリでの出会いは、最初に入れる「条件」に大きく左右される。日本では男性は収入、女性は年齢、そしてどちらも外見が重要と言われるが、韓国ではどうだろう。

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 業界の関係者に聞くと、男性が女性に求めるのは「まずは外見と、あとは自分より年齢が下かどうか」、女性は「経済力、そして外見」だという。そこまで日本と変わった様子はない。

男性は「経済力と外見」、女性は「外見と年齢」で判断される

 韓国のマッチングアプリの中には、こうした「条件」を加入時から設定して目的のはっきりした会員を取り込もうというところもある。

 プレミアムアプリとも呼ばれ、例えば、ソウル大学卒が立ち上げたアプリでは、男性の加入時の条件はSKY(名門といわれるソウル大学、高麗大学、延世大学の頭文字)か医科大学出身で、勤め先の証明書も提示することが求められる。女性はソウル市内の4大卒が基本で、さらに外見が男性会員に認められれば加入できる。

 学歴ではなく保有資産を問うところもある。

 たとえば男性は1.5億ウォン(約1660万円)以上の車を所有していたり、2億ウォン(約2200万円)以上のマンションに住んでいたり、年収が1億ウォン(約1100万円)以上、もしくは個人資産が20億ウォン(約2億2000万円)以上あれば加入OKとなるようなイメージだ。女性の場合は、男性と同等の資産を保有しているか、もしくは外見が男性会員に認められれば加入できる。

 さらには本人が保有する資産ではなく、親の条件によって加入が認められるアプリもある。親が保有する資産が100億ウォン(約11億円)以上だったり、職業が上級公務員や大企業の役員、そして、名門大学の教授や医療界、法曹界勤務であれば加入可能となり、女性は男性側と同等の資産条件を満たしているか、外見が既存会員の審査を通過すれば加入できるという。

 男性はスペック、女性は外見という双方の欲望が露骨極まりない形で反映されているが、これが意外と好評だそうで、ネットには「恋愛にもスペックが必要になった」というぼやきの書き込みも見られた。