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 1962年に創業、時代を彩るスターを輩出してきたジャニーズ。ジャニー氏による性的虐待も長年、芸能界では知られた話だった。だが、新聞やテレビといった大手メディアが、これを取り上げることはなかった。

 この問題を唯一正面から取り上げたのが1999年10月から14週にわたって『週刊文春』が展開した、キャンペーン報道である。

当時の小誌報道

 一連の記事で問題として挙げたのは次の点だ。

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(1)学校に通えないスケジュールを課すなど子供たちを預かる教育的配慮に欠ける
(2)少年たちと契約を交わさないため、その結果、少年たちに給与面での待遇差など不利益が生じている

 そして最も深刻な問題として告発したのが、ジャニー氏による性的虐待だった。

「ユー、今日ウチへ来る?」

 との誘い文句で少年たちを“合宿所”や、滞在するホテルの部屋に招き、行為を繰り返していたのだ。

番組で紹介された合宿所の“見取り図”

 BBCは、小誌で取材を当時担当した記者にもインタビューをしている。その担当記者が振り返る。

「キャンペーン開始の2カ月ほど前に、話をしてくれる元ジュニアがいるとの情報を得て、取材をスタートしました。それからは取材した子から、また別の子を紹介して貰うなどして、延べ15名ほどに取材しました。胸襟を開いてもらうため、夜中に一緒にカラオケに行くなど、徹底的に彼らに付き合いました」

「ヌルヌルしたものを尻に塗られて…」

 彼らの証言は、実に生々しいものだった。

〈ヌルヌルしたものを尻に塗られて、そこに最初は指を、それから性器を入れてきましたからね。いや、怖くて後ろは見られませんでしたけど。痛い、痛い、ものすごく痛いですよ〉(1999年11月4日号)

〈マッサージは筋肉がほぐれて本当にうまい。でも、パジャマを脱がすと、すぐに口です。いつも歯が当たって、痛いんですよ〉(1999年11月11日号)

若かりし頃のジャニー喜多川氏

 ジャーナリストの中村竜太郎氏も取材班の1人だった。彼はもともと友人だったジャニーズOBの男性に体験を聞いたという。

「当時、彼はもういい年齢でした。分別のついた歳の友人が涙を流しながら、声を震わせて話す姿を見て、辛い話を蒸し返してしまい、申し訳ないと思いました」

 報道後、編集部に連絡をしてきて、息子の被害を証言してくれた母親もいた。ジャニー氏の行為は、青少年健全育成条例や、刑法の強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪に抵触する可能性もあった。