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懐かしの蓄音機も...音楽愛が随所に伝わる空間

 なお音楽に詳しい方なら想像がつくだろうが、店名の由来はアメリカの「ZZ TOP」というバンドである。マスターの重田耕志さんの長いあご髭もまた、「ZZ TOP」のメンバーへのオマージュだ。

「ZZ BAR」

 店内は味園ビル内のテナントのなかでは比較的広く、カウンターのみならず大きめのテーブル席もある。店にはレコードがぎっしりと並び、大きなスピーカーからは温かみのあるサウンドが流れる。ライヴのためのギターやベースも揃っており、懐かしの蓄音機も。音楽愛が随所から伝わってくる空間だ。

 いろいろなプロセスを経て店を開いてから、今年で18年になるという。やはり閉めることはずいぶん前から聞いていたそうで、「だからまあ、いよいよやなあ、いう。ただ残念なだけですわ。それしかないですよ、もう。仕方ないことやから」と寂しそうに語る。

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音楽愛溢れる空間

 出身は尼崎だが、ご両親のルーツは奄美大島。そうしたバックグラウンドが、味園で店を始めるきっかけになったようだ。

「昔、ここに沖縄の子がやってるバーがあるいうて聞いてきたんですよ。いまはもうないんですけど。そのバーへ行ってて、このへんまだ全部詰まってなかった(空きテナントがあった)んで、ほんならやってみようかあと思って」

 先述のとおり当時の味園はさほど栄えておらず、入りやすい環境だった。

「敷金もなんもなくて、安うて入れたんです。だから若い子が集まるんですね。でも権利金もなにも必要なかったんで、出ていけといわれたら出ていかなあかん。そういう契約になってたから、いよいよかっていう感じです、今回ね。ほんまにね、思い入れはありますけどね。自分が初めてやった店やし」

棚にはレコードが所狭しと並ぶ

 味園のなかのミュージックバーということで、海外から訪れる人も多い。

「欧米の人が多いんですよ。めちゃくちゃ来ます。毎日、欧米の人のほうが多いぐらいに。最近ちょっと減ってきましたけど。もう外国みたいになります(笑)。僕は英語しゃべられへんから、逆に相手せんでええねん。でも、うちは音があるから」

「ローリング・ストーンズもまだ80でやっとるから、負けてられへん」

 いま入っている店のなかでは古株にあたる。さて、今後はどうされるのだろう。

「僕はこれでしか食べれないから、どこか店を探さないとしゃあないです。たぶん一斉に出ていかなあかんから、みんな探してると思うんだけどね」

 今年で70歳。「もうあと何年生きてるかわからへんけど」と前置きをしつつも、『ローリング・ストーンズ』もまだ80でやっとるからな。負けてられへん」とおっしゃる。

 いい話だなーと共感していたら、ふらっと入ってきた人が慣れた様子でカウンターに座った。