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――食事は家族と一緒にしなかったのですか。

糸井 最初の頃は、お昼にスーパーのお弁当とか、近くの中華料理屋の出前のラーメン、喫茶店のピラフなんかを買い与えられていました。

 でも、食事のときに家族と同席することはなかったし、同じものは食べなかった。家族とはコミュニケーションを取らないようにしてました。

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――家族のことを完全に拒絶してしまった。

糸井 そうです。あとは、母への抵抗から髪の毛を切らず、伸ばしっぱなしにしたりもして。

17年間も髪の毛を切らなかった理由

――なぜ髪の毛を切らないことが、お母さんへの抵抗なのですか。

糸井 母は美容師なのに、いつも私の髪の毛をバリカンで剃って丸刈りにしていたんです、小さい頃から。それに対する不信感もあったから、母親に髪を切らせないことで、「怒っているぞ」「許さないぞ」という気持ちを示そうとして。

 結局、17年間も髪の毛を切らなかったから、最終的には膝下くらいまで伸びてしまいました。

――身体を張って自身の気持ちを訴えようとした。

糸井 ひげも剃らなかったし、風呂にも入らず、服も着替えず、歯も磨かないという生活がずっと続きました。

 そうしたら、歯が悪くなってしまって。虫歯を放置していたら、歯がボロボロに欠けてしまったんです。だから硬い物は食べられず、惣菜パンとか、柔らかいものしか食べなくなりました。

写真はイメージです ©Wakko/イメージマート

治療や病院に行けず、健康状態が悪化

――治療には行かず?

糸井 もともと劣等感が強いうえに容姿も悪くなっているから、外に出ることが怖くなってしまったんです。だから歯の治療や病院にも行けなくて。

――そういう生活を送っていたら、健康状態も悪くなるのでは。

糸井 歯が欠けてしまって食べられるものが少ないし、治療にも行けないから、自室に持ち込んだオーブントースターと玉子焼器で、やわらかいパンケーキや具のないお好み焼きを作って食べていました。そしたら、ガリガリに痩せてしまって。最終的には、177センチで57キロまで体重が減ってしまいました。