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――ヒザを手術する前、あわせて14度、ブルペンに入りましたが、どのくらいまで戻せていたという感覚だったんですか。

「85マイルまで投げたので、単純に言えば85%だと考えられますけど、実戦となるとそうもいかないので、60%くらいだったんじゃないですかね。まっすぐが投げられる腕の振りが出てくればどの球種もある程度は投げられますから、そこまで戻れば、あとは指先の感覚とか握りの問題になってきます」

――ここから先の不安はありますか。

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「球速が戻るかどうかじゃないですか」

――バッター一本のシーズンを過ごしてみて、二刀流に対する意識が変わったということはありませんでしたか。

「ここまで2つやってきて、やらないなんてもったいないじゃないですか。やるべきだな、目指すべきだなと思っています」

エンゼルス時代の大谷翔平選手 ©文藝春秋

「僕、きっと野球をやめちゃうと思いますよ」

――それにしてもこのオフもリハビリの日々で、時間が余っちゃうんじゃないですか。

「だから家で電気治療をしながらテレビ見てますね。『アメトーーク!』は必ず見てますし、『水曜日のダウンタウン』も欠かしません。『こち亀』も変わらず見てます。あと英語版のマンガ『ドラゴンボール』を読んでます。

 僕、『ドラゴンボールZ』しか見たことなくて、最初のシリーズの『ドラゴンボール』はストーリーを知らないので、それを英語で読んだらどうなのかなと思ったんです。わからないところは調べながらですけど、おもしろいなと思って読んでますよ。この英語でいいのかよって突っ込みどころも多かったりして(笑)」

――食事はどうしているんですか。

「食べているのはほとんどUber Eatsです。アジア系からメキシカンまで、一通り頼みましたよ。お気に入りはポキボウル(ハワイ料理で、味つけした魚介をタマネギやナッツ類、ゴマなどと和えて白飯に乗せて食べる、魚介の丼)かな。美味しいし、わりと楽に必要な栄養素が取れるんです」

――メジャー2年目を終えて、得たものを言葉にするとどうなりますか。

「得たものですか……それは、今年はプロ野球生活の中で一番悔しいシーズンだったので、残っている数字はそんなに悪くなくても、目指しているところが高くなっていることを実感できたということは言えると思います。こういう成績に対してすごく悔しいなと強く思えることが、何よりもいいことだったと思っています」

――メジャーに来て最初の頃は「できないことがある」ことに嬉しそうだったのに、「できなくて嬉しい」が「できなくて悔しい」に変わったということですか。

「そこは表裏一体ですからね。楽しいから悔しくないわけじゃないし、悔しいから楽しくないということでもない。できないことに向かっていくのは楽しいし、今年もいろいろ見つかりました。オフにそれを一個一個潰して、来年、どのくらいできるのかなということの繰り返しで野球が終わっていくものなのかなと思っています」

――もう終わっていくんですか(笑)。

「野球人生ってそういうものじゃないですか。これだというものが見つかればいいなと思ってやってますし、もし本当にそれが見つかってしまったら、僕、きっと野球をやめちゃうと思いますよ」

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