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訴えられたらどうするか?

徳力 井上さんは訴えられたことってあるんですか。

井上 個人ではなく媒体としてですけど、某家電量販店に最高裁までネチネチやられました。確実にウラをとって、絶対の自信がないかぎり書きませんから、負けることはまずないですね。

 

山本 それ、基本だと思います。物書く以上は絶対に「飛ばし」ちゃダメですよ。訴訟になると、介在する問題に対して互いの認識が違うということはよくあるんです。だけど、そもそもワンソースのみで書くことがないのでそうそう負けません。

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徳力 記者の立場でも、訴えられる可能性がある記事を書くことがあるんですか。

井上 書きます。ただ、組織には顧問弁護士がいるわけですよね。これからそれがなくなったときの訴訟にどう対応するか。山本さんには顧問弁護士がいるんですか。

山本 まず私自身のやる気があります。(会場爆笑)

徳力 参考になんないなぁ(笑)。個人だと訴訟はすごく怖いんですけど。

山本 むやみやたらに訴えられたくないなら、書きかたのテクニックも必要ですし、著作権だとか名誉毀損に強い顧問弁護士も見つけておくこと。こちら側から訴えることもあるので通称パカ弁と呼ばれるネットの切った張ったに詳しい、IPアドレスから発信者情報を開示させる実務に詳しい弁護士とか。そういうひとたちは裁判経験もたくさんあるので作業が速いです。

 

ネットで記事を書いているうちに侘び寂びが理解できるようになった

徳力 山本さんはひととおり取りそろえているんですか。

山本 むしろ、ネットで記事を書いているうちに侘び寂びが理解できるようになった、という感じでしょうか。あと、よく相談されるのが弁護士事務所からくる警告書。あれでビビって記事を消しちゃうひとが多いので、ネット対策の第一にされている側面がある。だからこちらも専門家と連携して逆に記事をたくさん書いて拡散したり、他の嫌疑を記事に書いて、抑え込もうとする動きに対抗します。ちゃんと裏付けを取って記事を書き、相手にも裏からでも取材して意向を聞いて、やるべきことをちゃんとやれれば裁判というのはそんなにひどいことにならないです。

徳力 でも、裁判所に行ったりとか、イヤじゃないですか?

山本 それがイイんですよ。裁判所っていうのは真剣勝負のゲームセンターみたいなもんで。対戦台に座ったら向こうから「Here comes a new challenger!」みたいな感じです(会場爆笑)。もちろん、相手にも立場や主張もあるわけですし、裁判官も真面目に臨んできますから、きちんと対応する、どんな相手でも尊重するのは大前提です。

徳力 本当に普通の人の参考になりませんねぇ(笑)。井上さんのようなビジネスメディアは、訴訟のリスクをかかえていることはあまりないと思いますけど。

 

井上 そうですね。それでもWELQ問題のときには、記事中に出てくる方の顧問弁護士さんとメールでやりとりしましたけれど。

山本 そんなの踏みにじっちゃえばいいんですよ(会場爆笑)。事実は事実として、裏付けのあるものは書いてしまえばいい。

徳力 外見的には商業メディアだけど、じつは個人や数人でもち出しでやってますみたいなサイトにとっては、訴訟問題ってやっかいな部分だと思いますけど。