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なぜ読売新聞は、麻生節を「麻生節」と表記し始めたのか?

もうとまらない失言を、新聞はどう報じているか?

2018/05/25
note

「麻生節」では済まされない領域に入ってきた

 ちなみに麻生氏はさらに講演で次の発言も。

《2012年の自民党総裁選で、安倍晋三首相を支持した経緯にも話が及び「暗いやつを選ぶか、あまり頭の良くないやつを選ぶか。だったら、おなかの悪いやつを選ぶのが一番良い」と述べた。立候補した石破茂元幹事長、石原伸晃前経済再生担当相が念頭にあるとみられる。》(毎日新聞 5月17日)

石原伸晃前経済再生担当相 ©三宅史郎/文藝春秋

 放言の量産態勢に入った。アスリート風に言うならゾーンに入った。

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 日刊スポーツは「ついに安倍首相標的」「世界まで巻き込み」と見出しを打った。(5月17日)

 私が注目したのは、記事中の「麻生氏の言葉は、歯に衣着せぬ『麻生節』では済まされない領域に入ってきた」という部分。見出しでは大きく麻生節と書いたが、もうそんなこと言ってられるレベルではないと指摘。

 最近SNSでも麻生氏の暴言を麻生節と報道するのどうなの? という声が少なくない。麻生氏のキャラとして認めてしまっていいの? という声。

朝日新聞「麻生節」のヤバさを分析

 その点を頭に入れて新聞を読むと違いがみえてきた。例えば次の記事を並べてみよう。

読売「米朝会談控え また麻生節?」(読売 5月17日)

朝日「政権脅かす『麻生節』」(朝日 5月16日)

朝日新聞(左)と読売新聞

 違いがわかるだろうか。

 読売は麻生氏の放言を麻生節とそのまま書いたが、朝日は「麻生節」とカギカッコ付きで報じた。距離を置いているニュアンスがわかる。記事では「身内からも不安の声」として、

・「火消ししようとして、火に油を注いでいる」(自民党執行部の一人)

・「これまでは『麻生流』でかわしてこられたが、今回は心配だ。発言が世間の常識からずれ過ぎている」(麻生派の幹部)

を紹介。「麻生節」のヤバさを分析した内容となっている。