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「なにもなかったです。当時稼いだ分は、実家に仕送りをしたり、家を建て直したりで自分の手元には残らなかったんです。交際費も、それなりにかかっていましたからね。今は都内のマンションの値段が上がっているので、当時買っとけばよかったと心底後悔していますよ(笑)」

 現在、一条氏はCLUB ALFのマネージャーとして勤務している。雇用形態は正社員であり、固定給は内勤に転じた当初から20%ほどアップしているという。運営側としてキャッシャーなどなんでも行い、ときにはヘルプでテーブルにつくこともあるそうだ。「将来的には新店を任せてもらって、一回潰しちゃった過去をリベンジできたらいいかな」と将来の展望も語る。

「売掛がないこの時代に売れているホストこそ、本物」

 昨今は路上で客待ちをする“立ちんぼ”など、ホストクラブに通うお金を工面するため売春をしていた女性たちの逮捕といったニュースも多数報じられている。一条氏は、現在のホストを取り巻く状況をどのように感じているのだろうか。

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「“立ちんぼ”の原因のひとつはホストだと思っています。僕の知り合いのお店でも、おそらく、そういうことでお金を稼いでいるんだろうな、っていう女の子の話は聞いていました。その子は担当に毎日会いに来ているようでした。ホストが女の子に立ちんぼを強要するのはダメですし、個人的にはホストとしてのプライドを持ってやっていたら、そういうことは女の子にさせないよう配慮すると思いますが、すべてのホストお客さんの関係を変えるのはなかなか難しいかもしれないですね。」

 このような状況に対し、「ホストクラブの売掛金が一因ではないか」という批判も高まった。それを受け、2023年12月、ホストクラブの経営者らが2024年4月から売掛金を全廃する方針を示した。一部では、手を替え品を替えて、同様のシステムがあるとも言われるが、現在では一応売掛金は禁止とされている。

「それは業界にとって、大きいですよ。ホストにしても女の子にしても無理ができなくなったのは、よかったことだと思います。僕も過去には高級外車3台分くらい踏み倒されて、肩代わりしていますから、そういうホストの被害もなくなるわけです。ただ、そのぶん売上を上げるのは大変になるでしょうね。ただ、売掛がないこの時代に売れているホストこそ、本物なんだろうと思います」

 ホストとしての栄枯盛衰を味わった一条蘭氏。「今では自分がどうこうよりも、流川楓(CLUB ALFの社長)などかわいがっていた後輩の元で働けてるのが幸せですね」と落ち着いたように語り、一条氏は白い歯を見せて微笑んだ。