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――物語は一度「読点」を打つ形になりました。今後、この世界でのお草さんと久実ちゃんの姿が見られないのは、寂しいですね。

吉永 今度は一ノ瀬を中心に若い人たちの話をするのもいいし、お草が今の時間から昔を思い出すというのもいいし……揺れ動いています。

 でも、久実とお草は離れていても、お互いに忘れっこないし、大切な存在であるというのは変わらないと思うんですよ。それまで毎日のように顔を突き合わせていた友人が、例えば結婚して転勤に付き合ったり、転職して別の業界にいったり、まったく会わなくなることってあるでしょう。しかし偶然にでも、会いさえすればその時間を飛び越えてまた仲良くなる。そういう意味も込めて、今作のタイトルをつけました。

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 なんだか人間関係って不思議で、時間が経てば経つほど大事になっていく人って、いるんですよね。もうたぶん二度と会えないんだけど、時々ふっと思い出して、その人ならどう思うかなと考えることが自分の座標軸になっているというか。それって、単に仲が良かったとか、長い時間を一緒に過ごしたとかではないんですよね。時間が経ってみないと分からない関係。お草と久実は、きっとそんな風に、お互いのことを思いあっているんじゃないかと思います。

――シリーズをご愛読いただき、ありがとうございました。これからのお草さんたちの活躍に、どうぞご期待ください。

時間の虹 紅雲町珈琲屋こよみ

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吉永 南央

文藝春秋

2024年10月28日 発売

雨だれの標本 紅雲町珈琲屋こよみ

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