シリーズ累計80万部を突破している「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ。このほど発売された『時間(とき)の虹』は、第12弾にしてなんと「結び」の一作となりました。
あまりに衝撃の展開に、編集担当・文庫担当・デザイナーは騒然。なぜ、こんなことが起きたのか? 著者の吉永さんは、いつからこんなことを考えていたのか?
本書をお読みくださった方に送りたい、本音のアフタートークです。全2回の後編です。(前編はこちら)
※未読の方は先に本書をお読みください。
★『時間の虹』あらすじ
小蔵屋、まさかの閉店。
静かな時間が流れる、いつもの小蔵屋。
オーナーシェフだったバクサンが引退し、お祝いをするお草だが、心には一抹の不安が。
一つ、不審な間違い電話が相次いでいる。
もう一つ、久実の婚約者・一ノ瀬が8ヵ月以上も店に顔を出さないのだ――。
小蔵屋に、何が起こっているのか?
止まっていた時間が、動き出す。
詳しくはこちらから。
https://books.bunshun.jp/sp/osou
◆◆◆
――前作『雨だれの標本』で、やっと一ノ瀬が久実ちゃんにプロポーズしたことで、デザイナーさんはずっと「次回の表紙は二人の結婚式だ」と楽しみにしていたそうなのですが……ふたを開けたら、まさかの破局。皆、かなり驚いていました。
吉永 申し訳ないです(笑)。あの二人、出会いからずっと波乱万丈ですからね。
――吉永さんとしては、この破局は見越したものだったんですか?
吉永 そうですね。あのまま結ばれるんじゃなく、結婚前にいろいろある方がいいんじゃないかと……。その前振りのつもりで、梅園管理者の齋藤睦(むっちゃん)が、好きな人とは結婚できなくて、でもずっと好きなままだ、というエピソードを入れたんですよ。