「新しい地図」で多難の再スタート
SMAPの活動を終えた香取慎吾さんは、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、そしてマネージャーだった飯島三智さんとともに「新しい地図」を立ち上げ、再スタートを切ります。
さまざまな事情が絡み、彼らの姿はしばらくテレビの地上波で見ることができなくなりました。これまで陽の当たるところを歩き続けてきた香取慎吾さんにとって、難しい時期だったのはたしかなはず。ただ同時に、テレビの世界や芸能界のことを知り尽くしている彼にとって、自分たちが新しい道に歩を進めたことによって何が起きるか、どんな波風を立てることになるのかもよくわかっていました。だから焦らず騒がず、地道に自分たちができることをやり続けていこうとしましたし、周りで支えてくれている人へもいっそう感謝するようになったのだと思います。
そんななか、2017年にAbemaTVで「72時間ホンネテレビ」が生放送されます。「新しい地図」の面々が番組に出演し続けるという企画です。
この番組に僕も制作スタッフとして関わっていたのですが、そこで少々トラブルが起きました。僕が番組制作に参加することをあまり良しとしない声があり、強行すると放送作家として、今後ほかの仕事に大きな支障が出そうだったのです。
そうなっても、僕は、メンバー5人全員とこれからも仕事をしていくと決めていましたが、近しい人たちが心配してくれていました。
そのタイミングで飯島さんが、あとで香取慎吾さんから電話をしていいかと僕に伝えてきました。電話番号をあまり交換しない彼の連絡先を僕も知りませんでした。かかってきた電話では、僕の状況に理解を示してくれて、
「オレらはだいじょうぶだから、自分のことを第一に考えてほしい。いま抜けたとしても、悪く思わないに決まっているし、もうじゅうぶんに感謝してる」
と言ってくれました。自分たちだってたいへんな立場を背負っていて、生放送の番組はもう間近に迫っているというのに、わざわざ気を配って電話してきてくれたことに、僕は思わず涙を落としてしまいました。