――城さんが、長友さんのような役割で代表に来てほしいと言われたら、どうしますか。
城 自分は無理。名誉なことだけど、試合に出れないわけじゃないですか。ある意味、W杯メンバーの第3GKと同じですよね。
フランスW杯の時、小島(伸幸)さんが第3GKだったのですが、選手というよりほぼコーチでした。能活(川口)と正剛(楢﨑)のメンタルケアや練習のサポートをしていたけど、それは小島さんだからできたことで、自分では考えられない。
自分の精神的なストレスの方が大きくなって、気持ちが破綻してしまうと思うんです。それができる長友は、本当に強い選手だなと思います。
今年の日本代表で特に目立った“2人の選手”とは?
――この2試合で、今年の代表の試合は終わりになります。2024年シーズン、日本代表で特に印象に残る試合、選手、シーンはありますか。
城 今年の代表で非常に目立ったのは遠藤と守田(英正)のダブルボランチでしょう。攻守においてのバランスの取り方が絶妙で、技術が高く、個人戦術と集団戦術に優れ、今年はすべてがレベルアップして完全に日本の心臓部になった。
それが明確になったのは、10月のオーストラリア戦でした。遠藤が体調不良で不在になり、田中碧が代わりにプレーしたけど、チームを機能させることができなかった。中国戦は守田の代わりに出たけど、いつもは縦パスを入れたり、ワンタッチで変化をつけていくのですが、そういうシーンが少なく、目立ったのは後半36分のワンタッチで繋いでシュートしたところぐらい。
遠藤と守田の牙城を崩すのは、相当難しい。それくらいこの2人は今季、すばらしい鉄板コンビになったと思います。
――今回の2連勝で、W杯出場に王手がかかりました。3月ホームで迎えるバーレーン戦、サウジアラビア戦の2戦のどちらかに勝てば、8大会連続でのW杯出場が決まります。
城 今の日本の強さを考えれば、バーレーン戦(3月20日)で決まるんじゃないかな。そこで決めた後の試合では、いろんな選手を試してほしいですね。藤田(譲瑠チマ)とか高井(幸大)とか、いい素材の選手がたくさんいるし、彼らが活躍できれば戦力の底上げにつながるわけじゃないですか。
森保さんは予選突破後も徹底して同じメンバーでやる可能性があるので、そうなると今後がちょっと不安だけど、まずはしっかり勝って日本のファンの前で予選突破を決めてほしいですね。
取材・文=佐藤俊