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落ちてきた男性は、脳梗塞の影響で手すりをつかむ力が弱くなっていたそうで、その男性が翌朝に大学病院の予約を入れ、若宮さんは検査を受けることに。

「その日も群馬県の前橋市で講演会があり、行かなければいけないと言ったんですが、骨折しているかもしれないから、とにかくレントゲン検査をしないといけないということで。仕方なく、前橋の会場にいらっしゃった方、六十数人に私がサインした本をお詫びに差し上げ、回復後の講演をやる際には最優先枠にするということでご勘弁いただいたんです」

パソコン通信を始めたときは、シニアの女性が…とからかわれた

高校を卒業し、銀行に入社した当初は、そろばんやお札を数えるなどの“手作業”が苦手で、「会社のお荷物」「給料泥棒」とまで自身を卑下し、体調を崩して会社を休むことすらあった若宮さん。しかし、機械という味方を手に入れ、自信を持てるようになり、人に必要とされるようになった。さらに世界最高齢のアプリ開発者として知られるようになると、各地から講演に呼ばれるようになり、80代からの今が最も多忙で、最も輝いているときなのだろう。

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だが、電話回線を使ったパソコン通信時代には、パソコンでインターネットを利用していたのは男性ばかりで、なかには、女性で高齢の若宮さんをからかう者もいたと振り返る。

「私には専門知識がないから、パソコンなんか自己流でやっているだけ。でも、別に習得なんかしなくていいし、学問なんかしなくても、使えばいいじゃないですか。何年か経って『若宮さんは、よくあのいじめに耐えていた』なんて言われることもあるけど、別にいじめじゃない。私は常識がないから、とんでもないことをするわけですよ。あの頃は今みたいにアプリの完成度が高くなかったから、例えばアップしてから全部文字化けしちゃっていたとかで、注意されるわけですよ。そうすると、みんなアップしなくなるけど、叱られるからこそ、正しいやり方を覚えるんじゃない? 私は鈍感力がありますから、からかわれたり、いろいろ言われたりしても『気を付けよう』『お月謝も払わないのに、教えてくださってありがたい』と思えるの」