89歳の現役プログラマー、デジタルクリエイターとして、講演など引く手あまたの若宮正子さん。「年末年始ぐらいしか休まない」という過密スケジュールで全国を動き回るその活力はどこからわいてくるのか――。

前編から続く

撮影=阿部岳人 89歳の現役プログラマー・若宮正子さん - 撮影=阿部岳人

89歳の現在、週に2~3回の講演を精力的にこなし、全国に出張

Apple社のCEO、ティム・クック氏から「世界最高齢のアプリ開発者」と紹介された、ICTエバンジェリストの若宮正子さん(89歳)。70歳を過ぎて表計算ソフト・エクセルを使って色鮮やかな図案を描く「エクセルアート」を考案。81歳の時にはスマートフォン向けアプリを開発し、世界中から注目されるようになると、講演会の仕事が殺到するようになった。

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「講演会は1週間に2回か3回。パソコンとスマホと全部連動させ、ポケットWi-Fiを持ち歩いて、出先でスケジュールも確認しています。マネージャーさんみたいな方がいればいいんですけど、全部自分でやっているんですよ。例えば、今日東京で取材を受けて、明日は福岡に日帰りで、次はまた東京でテレビ局の取材。次の日は北海道で1泊して、戻った次の日が岩手県の一戸で、次は滋賀県の近江。あんまり家にいないんです(笑)」

実際にスケジュールを見せていただくと、予定がびっしり。働き盛りの超多忙なビジネスマンよりも出張が多いのではないかと思うほどだ。しかも、代理店が入っていない講演は、交通のチケットや宿泊の手配も全て自分で行っている。年間で休日といえば年末年始くらいだが、「家で休んでいると、風邪をひいたりお腹の調子が悪くなったりして、仕事していないほうが調子を崩すんです」と言うほど。

和田秀樹氏との対談直前、骨折するようなハプニングが発生

多忙を極める若宮さんだが、1度だけ仕事をキャンセルしたことがある。それは、とある出版社内でのこと。エスカレーターで高齢男性が上から落ちてきて、その事故に巻き込まれ、怪我をした。その日は精神科医・和田秀樹氏と対談の予定があったため、急きょ医務室で処置してもらい、そのまま対談を行った。