日本のフィギュアはアジアでずっと人気で、アニメやゲームの原作ファンがコレクションとして買うだけでなく、家の飾りとしても好んで購入されています。ところがタイでは突然、中国の商品が買われるようになったと知って驚きました。

 仕事柄、中国の記事を日々読んでいるのですが、どうもタイ屈指のオタク市場を中国の商品が席巻しているらしい、という記事を読んだのです。タイといえば、昔から日本のアニメが人気で、現地のセブンイレブンでは入口のドアにドラえもんのイラストが描かれてるし、アニメゲーム系のショップは日本のフィギュアだらけ。ドサクサに紛れて日本の海賊版も売ってます。

 そんなタイで、本当に中国の商品がいっぱい置いてるのだろうかと半信半疑でした。

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バンコクの中心・サイアムにあるPOP MARTのショップ。多くの人が商品を物色している

1年前のタイの“サブカルビル”では、そこまで中国の商品は多くなかった

 それで実際に、タイ・バンコクのメガプラザというサブカルビルに行ってみました。メガプラザの前身はサパーンレックというサブカル市場で、あやしげなモノが好きな人にはたまらない場所でした。

 当時は海賊版屋をはじめ、中古品屋、グッズ屋、フィギュア屋など、様々な店がありました。海賊版CDにしても、日本の週刊誌の表紙を切り取った謎パッケージのCDが売ってたり、まあひどいところでした。

 メガプラザはサパーンレックと比べて、かなりまともな感じになりましたが、前身の雰囲気を残しています。1年前に行ったときの印象は、フィギュア屋がとにかく多くて、続いてゲーム屋、中国から直輸入しているおもちゃ屋などもありました。それでも中国の商品を売っているお店はそこまで多いとは思わなかったのですね。

バンコクのオタクスポット「メガプラザ」

しかし今は、日本のフィギュアを追いやって人気に…

 ところが、先日行ってみたら一変していた。本当にどこを見ても、中国の商品を扱う店ばかりになってたんです。こんな光景は今まで見たことがなかったので、驚きましたよ。

 なぜ、ひと目で中国のフィギュアだとわかるのか。見た目からB級品のオーラが漂っているのかというと、そういうわけではないんです。最近の中国フィギュアは、日本とは作風の異なるかわいい2頭身キャラが特徴。それが中国からタイに流れ、日本のフィギュアを追いやって人気になっているのです。

 この手の商品は中国語で「潮玩(チャオワン)」といいます。メガプラザの各階には、中国のトイメーカー「POP MART」などの潮玩を扱う店ばかり。時代の流れとはいえ悲しくなります。