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結果として私は、父の介護施設に払う月額30万円と、リネン費、インターネットの接続代や新聞代などを含めた月額40万円から、多い時で50万円もかかる費用を延々と払い続けることになったのだ。

どんぶり勘定で記録をしていなかったため、父に幾ら私財を投じたのか正確なところはわからないのだが、父の介護が始まってから亡くなるまでで、私の負担はおそらく数千万円に達していたと思われる。

そのことで相続財産が数千万円余分に計上され、それが相続税の金額にも反映された。本来払わなくてもよい税金を支払う羽目になったのだ。

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死んだあとでは遅い。

生きているあいだから計画的に対策を進めなければ、相続税負担が、どんどん水ぶくれしていってしまうのだ。

10カ月にわたって続く相続地獄の切り抜け方

2011年に起きた東日本大震災の直後に父は他界し、同時にそこから10カ月にわたって続く相続地獄が幕を開けた。

遺産分割協議や相続税の申告は、故人の死亡届けを提出してから10カ月以内に完了しなければいけないと法律で定められている。

1年近くも猶予があるのかと思ってしまいがちだが、10カ月はあっという間に過ぎていく。なにしろ、膨大な手続きが必要なうえに、一つひとつに信じられないほど時間がかかる。

しかも並行して行うことができず、一つクリアしたら、それを持って役所へいって手続きを進めるという具合で牛歩も甚だしいのだ。

ただ私は当初から期限を強く意識していた。

申告期間の10カ月を超過すると、脱税で立件されるケースがある。経済アナリストという肩書で仕事をしている立場上、脱税で捕まるなどという失態は許されない。

そんなことになればお金のスペシャリストとして呼ばれるテレビやラジオの出演や講演、経済学部の教員の仕事は奪われてしまうかもしれない。私はあせっていた。

ちなみに私は節税しようとは、はなから考えていなかった。親から相続するお金は、いわばあぶく銭だと考えていたからだ。