思い出の場所を通ったりしながら、深夜に…ふたりの最期の行動

「午後四時半、車の中に妻を待たせている」

「午後八時、妻とともに家を出る」

「妻は一言も言わず待っている」

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 このようにその日に家を出てからの行動が箇条書きになっている。午後8時に自宅を車で出たあとは、親戚の家に寄ったり、ふたりの思い出の場所を通ったりしながら、深夜に火葬場へ着いた。そして――

「午前零時四十五分をもって点火する」

 最期の行動がそう書かれている。

写真はイメージ ©tokyoimages/イメージマート

「妻と共に逝く」自宅からは日記帳も見つかった

 たくさんの薪と炭を用意し、火葬炉のなかに敷き詰めた彼らは、0時45分に火を起こしたあと一緒に火葬炉のなかへ入った。そして金属製の扉に括りつけた紐を内側から引き、扉を閉めて心中したのだ。

 この書き置きのほかにも、ふたり暮らしをしていた自宅からは日記帳も見つかっている。「妻と共に逝く」「たきぎや炭で荼毘の準備」「さっぱりした感じでいる」など、心中を事前に計画していたことが窺える。

 さらに夫は心中の前日、財産の処分先を書いた遺言書を市役所に郵送していたこともわかった。自宅や田畑、山林など所有している不動産は市に寄付し、預金などはお世話になった人へ渡るようにしてほしい、という内容であった。

 この遺言書は1年ほど前から書かれており、どうやらずっと前から心中を計画して身辺整理をはじめていたようだ。

 停めてある車でクラシックを流しっぱなしにしていたのも、誰かに見つけてもらえるように、という意図だったのだろう。

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