故人のご遺体を火葬し、その人生を締めくくる場所「火葬場」。今でこそクリーンな運営をしている場所が多いが、かつては火葬場でさまざまな事件が起きていた。いったい、どんな事件が起きていたのか——。
ここでは、元火葬場職員・下駄華緒氏が、火葬場で起きた事件を徹底調査してまとめた書籍『火葬場事件簿 一級火葬技士が語る忘れ去られた黒歴史』(竹書房)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
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火葬炉に人を監禁するという事件
火葬場職員は、業務の一環として火葬炉のなかに入り掃除や点検をすることもある。高温の炎を扱う場所なので最新の注意を払いながらおこなわれるが、やはり万が一のことがあったら……という不安はつきまとう。
実際、大事故一歩手前の状況にまでなったこともある。(詳しくは前著『火葬場奇談 1万人の遺体を見送った男が語る焼き場の裏側』に書いてあります)
火葬炉のなかに入るというのは、それほどまでに気をつかうことなのだが、これをもし自分の意志ではなく、強制的に入ることになったらどうだろうか?
もしほかの人に無理やり入れられたりなんかしたら……と思うと、身の毛がよだつ思いである。
じつは過去にそうした、火葬炉に人を監禁する事件が起きていたのだ。
それは平成7年(1995)9月、群馬県伊勢崎市にある火葬場で起きた。
なんとこの火葬場を運営する会社の72歳の社長が、部下3人に無理やり火葬炉のなかへ押しこまれ、監禁されたというのだ。
事件の報道時の仮名をそのまま引用すると、加害者は33歳のAと、28歳のB、32歳のCという人物。いずれも男性で、火葬担当の従業員である。
前代未聞のこのとんでもない事件、いったいどういった経緯で起きたのか、詳しく解説していこう。