『鉄男II 』のスタッフがたくさん『ヒルコ』にも
―― 『鉄男』ではかなり美術を自分で作られていたと思いますが、『ヒルコ』ではたくさんの造形物や美術をプロの方に作ってもらうことになって、いかがでした?
塚本 ただ、『ヒルコ』をやる時には、実は『鉄男II BODY HAMMER』の準備が始まっていたんです。
―― もう準備していたんですね。
塚本 その準備のスタッフの人たちが結構『ヒルコ』の特殊造形を作っているので、いい練習と言うと変なんですけど、本番練習みたいな感じで。それ以外色々なパートに『鉄男II BODY HAMMER』のスタッフを置いてくださいました。
―― なるほど。もう実は塚本組が入っていたんですね。
塚本 そうですね。結構入れてくださったんです。プロデューサーの方も理解してくださって。もちろんそれ以外のプロフェッショナルな人もいっぱい入ってきたんです。とにかく、自分のイメージを口でうまく伝えられないかもしれないですから、絵をなるべく描いて、美術の部屋に貼っていただいて、それを観ながら作っていただいたというようなことをやらせてもらいました。
ハイビジョンを駆使してつくられた『ヒルコ』
―― 当時CGがなかった時代ですから、『ヒルコ』でもコマ撮りもやられていたと思うんですけど。
塚本 色々な当時の特撮が集結した感じでした。いわゆる僕がやっていた乱暴なコマ撮りはあまりやってなくて。初めてハイビジョンというのが出た時ですね。ハイビジョンというのは当時ビックリするようなよくできた技術で。ただ、本当に初めて出たばっかりなので、セッティングをするのに相当時間がかかりながらやっていた記憶があります。
―― 中継車みたいなものが来て調整してという時代ですね。
塚本 中継車みたいなのが来て、コードグチャグチャで、わけ分からない感じでした。
―― そうでした。でも、怪物の顔がたくさんあるイメージとかはハイビジョンじゃないとできなかったですよね。
塚本 そうです。一個ヒルコを作れば、それをたくさんに増やして、かなり緻密な合成で、一斉に振り返ったりできる。
―― 最後、ヒルコの首が長くなって昇天するイメージがありましたけど、今見るとちょっとCGっぽい感じもするけど、あの辺はCGではなくて?
塚本 あれもハイビジョンなんですね。最後のほうに行くにつれて、力がだんだん尽きて、息も絶え絶えになっていってしまっているのが、唯一の残念さでしょうか。